心筋梗塞や冠動脈疾患に起因する虚血性僧帽弁逆流症は予後不良の疾患であり、早期治療が必要とされる。重症の虚血性僧帽弁逆流症に対し、米国心臓協会(AHA)や欧州心臓学会(ESC)の治療ガイドラインは僧帽弁形成術または人工弁置換術を推奨しているが、どちらがより有用であるかは明確になっていない。そこで、両者の有用性を比較する前向きの無作為化比較試験CTSNが行われた。米国University of PennsylvaniaのMichael A. Acker氏が研究グループを代表し、人工弁置換術は僧帽弁形成術に比べて術後の僧帽弁逆流症の再発を有意に抑制したことを報告した。

 対象は、症状や心エコー所見などから重症と診断された虚血性僧帽弁逆流症患者251例。これらの患者を人工弁形成術群(126例)あるいは僧帽弁置換術群(125例)に無作為に割り付けた。ベースラインにおける患者背景を見ると、年齢は形成術群が69.0歳、置換術群が67.9歳、男性比率がそれぞれ61.1%、62.4%、左室駆出率(LVEF)が42.4%、40.0%で、いずれも両群間に有意な差はなかった。また、治療歴や症状、心機能などでも、両群間に有意差は認められなかった。

 1次エンドポイントは1年後における左室リモデリングの退縮の程度であり、経胸壁心エコー検査により測定される左室収縮末期容量係数(LVESVI)を指標として評価した。2次エンドポイントは死亡、僧帽弁逆流症の再発、主要有害脳心血管イベント(死亡、脳卒中、僧帽弁手術の再施行、心不全による入院、NYHA心機能分類の悪化からなる複合エンドポイント)、重篤な有害事象、QOLだった。