一連の介入を包括的に実施することで、多職種介入群の心イベント(心不全増悪による再入院、心臓死の複合イベント)の累積発生率は、通常治療群に比べ52%有意に減少していた(図2)。さらに、左室駆出率40%をカットオフ値として収縮機能が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)と、収縮機能が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)に分けて解析すると、いずれも多職種介入群では通常治療群に対し有意なリスク減少が認められた。

 なお、心イベントの大半は増悪による再入院だったので、「患者と医療従事者、双方が努力することで再入院の多くは予防が可能である」と衣笠氏は言う。

 また、様々な介入のうち、心イベントの予防効果が最も高かったのは、β遮断薬でも心臓リハでもなく、患者教育だった。看護師、薬剤師、栄養士の3職種による介入を受けた群、1〜2職種による介入を受けた群、教育介入がなかった群の3群で比較すると、介入が多職種になるほど累積心イベント発生率は有意に低下することが明らかになった。これは、HFrEFとHFpEFに分けても変わらなかった(図3)。

 今後の課題として、衣笠氏は心イベントが退院後30日以内に多く発生している点を挙げる。これまで、退院後の初回外来受診日は1カ月以内に設定していたが、最近は2週間以内に変更し、早めに退院後の様子を確認できるように改めた。また、外来での継続した介入も重要との考えから、看護師が患者に電話して自宅での生活状況を確認したり、外来受診時に看護師や栄養士による生活指導を実施し始めた。かかりつけ医に逆紹介する患者も少なくないため、今後は地域連携にも積極的に取り組んでいきたいという。