ただし、糖尿病合併例でも、動脈硬化性冠動脈疾患、末梢動脈閉塞疾患、頸動脈狭窄がある患者では、降圧による臓器灌流低下に対する十分な配慮が必要であり、個々の病態に応じて降圧目標を緩和するように求めている。なお、インスリン抵抗性改善作用が認められることなどから、第一選択薬にはACE阻害薬とARBを提示している。

 脳血管障害を合併する高血圧については、JSH2009では具体的数値が示されていなかった一部の降圧目標が明確になった。JSH2014案では、超急性期、急性期、亜急性期、慢性期というように細かく分けて、降圧治療対象、降圧目標、推奨される降圧薬をそれぞれ示している。

 CKD患者に関して、これまでは降圧目標を「130/80mmHg未満、尿蛋白が1g/日以上なら125/75mmHg未満」とし、第一選択薬としてACE阻害薬またはARBを推奨していた。だが、保険診療上、糖尿病を合併していない一般の高血圧患者には蛋白尿検査が行われることなども考慮し、糖尿病の有無に分けて示している。

 非糖尿病患者では、蛋白尿(−)だと降圧目標は140/90mmHg未満とし、第一選択薬はレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬、Ca拮抗薬、利尿薬を推奨。一方、蛋白尿(+)の場合は130/80mmHg未満とし、第一選択薬はRA系阻害薬を挙げている。なお、糖尿病があれば、アルブミン尿の有無にかかわらず130/80mmHg未満を目標とし、第一選択薬にRA系阻害薬を推奨している。

授乳期に投与可能な降圧薬の一覧を提示

 「女性の高血圧」の章では、妊娠・出産に関連した高血圧の第一選択薬が前回よりも詳しく示された。

 妊娠20週未満においては、メチルドパ、ヒドララジン、ラベタロールを第一選択薬として記し、20週以降ではこの3剤にニフェジピンを加えた4剤を提示している。

 授乳期の降圧薬選択については、JSH2009ではほとんど触れられていなかったが、今回は「授乳が可能と考えられる降圧薬」の一覧を提示した。具体的には、Ca拮抗薬のニフェジピン(商品名アダラート)、ニカルジピン(ペルジピン)、アムロジピン(ノルバスク、アムロジン)、ジルチアゼム(ヘルベッサー)、αβ遮断薬のラベタロール(トランデート)、β遮断薬のプロプラノロール(インデラル)、中枢作動薬のメチルドパ(アルドメット)、血管拡張薬のヒドララジン(アプレゾリン)、ACE阻害薬のカプトプリル(カプトリル)、エナラプリル(レニベース)が挙げられた。

 授乳期の降圧薬に関しては、米国立衛生研究所のLactMedを参考になるウェブサイトとして提示。同時に相対授乳摂取量(RID)も示している。

 さらに国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」(厚生労働省事業)のホームページを、より詳しい情報を得るための相談窓口として紹介している。