日本高血圧学会は2014年4月の公開を目指して、高血圧治療ガイドライン(JSH2014)の改訂作業を進めている。今年8月には原案を公開し、パブリックコメントを募集。10月の第36回日本高血圧学会総会では最終案を発表し、JSH2009からの主な変更点を解説した。ここでは、ガイドライン案などを踏まえ、主な改訂のポイントを紹介する。


 新しい高血圧治療ガイドラインであるJSH2014案で注目される点として、(1)家庭血圧をより重視するようになった、(2)降圧目標を一部変更した、(3)第一選択薬からβ遮断薬を除外した、(4)糖尿病合併患者の降圧目標を据え置いた、(5)脳血管障害合併患者、慢性腎臓病(CKD)合併患者での扱いを分かりやすく整理した─ことなどが挙げられる。

診療室血圧より家庭血圧を優先

 家庭血圧に関しては、これまで臨床的な位置づけがはっきりしていなかったが、今回、診療室血圧よりも優先する方針を打ち出した。それに伴い、高血圧診断の手順を新たに提示した。また、「診察室血圧と家庭血圧の間に差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」といった記載を盛り込む予定だ。

 家庭血圧では、診察室血圧よりも予後予測能をはじめとする臨床的価値が高いとするエビデンスが蓄積してきた。さらに、わが国では高血圧患者の多くが血圧計を保有して測定するなど、家庭血圧測定が普及していることを踏まえたという。

 家庭血圧の測定方法について、従来は「1回以上(1〜3回)」と幅を持たせていた1機会の測定回数を、JSH2014案では1機会、原則2回の測定とし、平均値をその機会の血圧値として用いるというように分かりやすく記述する。初回の測定値は2回目以降よりも高いことが一般的で、1機会に複数回測定する患者が多いからだ。

 なお、「1回のみの測定の場合には、1回のみの血圧値を、3回測定した場合には3回の平均を用いることも可」としている。

 JSH2014案では、降圧目標を整理する。若年・中年患者では、140/90mmHgに引き上げる(表1)。以前のガイドラインでは、高血圧の診断基準を140/90mmHg以上としながらも、降圧目標は130/85mmHg未満としていた。そのため、130〜140mmHgに降圧できた場合、基準を満たさなくなったのに目標は達成していないという“矛盾”が生じていた。これを解消するため、基準値と目標値を一致させた。

 高めの数値に合わせたのは、より低い目標血圧を支持するデータが乏しく、幾つかの介入試験で絶対リスクの減少が少なかったことによる。
 臓器障害を伴うことが多い後期高齢者は、重要臓器の血流障害をもたらす可能性に留意し150/90mmHg未満とした。ただし、忍容性があれば140/90mmHg未満を目指すように明記している。