禁煙補助薬のバレニクリンはプラセボと比べ、うつ病の発症リスクを高めないことが、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析の結果として示された。熊本大学生命科学研究部薬物治療学分野講師の猿渡淳二氏が発表した。

 バレニクリンの添付文書には、「本剤との因果関係は明らかではない」と前置きした上で、警告として「抑うつ気分、不安、焦燥、興奮などが報告されているため、本剤を投与する際には患者の状態を十分に観察すること」と記載されている。ただし、バレニクリン自体が薬剤性うつ病を生じるかどうかは明らかではなかった。

 そこで、バレニクリンによるうつ病発症リスクを検討するため、過去に報告されたRCTのメタ解析を実施した。MEDLINEから115本の論文を抽出し、バレニクリンあるいはプラセボを投与し、両群でのうつ病の発症頻度を報告していた6本を解析対象とした。

 その結果、バレニクリン群(1513人)におけるうつ病発症者は27人、プラセボ群(1175人)は28人で、リスク比は0.81(95%信頼区間 0.48−1.38、P=0.44)となり、両群間に有意差を認めなかった。これらから猿渡氏は、「バレニクリン投与時に発現するうつ病は、バレニクリンによる副作用ではなく、ニコチン依存症の離脱症状である可能性が高い」と話した。

 さらに同氏は、バレニクリンに加えて、抑うつリスクが指摘されているプロプラノロール、プレドニゾロン、トピラマートに関しても、同様の検討を行った。

 プロプラノロールでは、条件を満たした4本の論文を解析した結果、プラセボに比べうつ病の発症リスクが高い傾向が認められた(リスク比1.34、P=0.30)が、試験間の異質性が高かった。一方、プレドニゾロンとトピラマートでは対象となる論文が少なく、メタ解析を行えなかったが、累積うつ病発症率はプレドニゾロンで約7%(3試験)、トピラマートで22%(2試験)と、うつ病発症リスクは否定できなかった。

 猿渡氏は、プロプラノロール、プレドニゾロン、トピラマートに関してはさらなる研究が必要とした上で、「現時点ではうつ病の発症リスクを否定できないので、投与する際はうつ病発症に注意すべきだ」と語った。