うつ病はその発症年齢により病態が異なる可能性が、順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院准教授の馬場元氏らの研究により示された。若年発症のうつ病ではアミロイドβ(Aβ)の代謝異常が強い一方、高齢発症では脳血管病変の重症度が高かった。

 一般に、うつ病患者では認知症の発症リスクが高いことが知られている。うつ病はAβを介して認知症の発症を高める可能性が注目されているが、うつ病の発症年齢による影響の差は検討されていなかった。

 そこで馬場氏らは、大うつ病性障害で入院した60歳以上の患者89人を、60歳以上でうつ病を発症した高齢発症群(54人)と、60歳未満で発症し罹病期間が長い若年発症群(35人)に分け、コントロール群(年齢をマッチさせた健常者81人)とともに、血清中のAβ40とAβ42、Aβの代謝や脳血管病変の状態を検討した。

 その結果、若年発症群、高齢発症群ともに、コントロール群に比べて、Aβ40/42比が有意に高いことが示された(若年発症群P=0.010、高齢発症群P=0.043)。さらに、うつ病の発症年齢はAβ40/42比と有意な負の相関を示し(P=0.032)、発症年齢が若く、罹病期間が長い患者ほどAβの代謝異常が顕著だった。

 一方、深部脳血管病変の重症度は、うつ病の発症年齢と有意な正の相関を示し(P=0.002)、発症年齢が高いほど血管病変が重度だった。

 今回の結果について馬場氏は、「若年発症のうつ病はAβの代謝異常を介して認知症のリスクとなっていることが示唆された。また、高齢発症のうつ病は認知症の前駆症状というよりも、リスク因子である可能性がある」と語った。