パーキンソン病の治療ガイドラインが2011年に発行された後も、新しい作用機序薬をはじめ、徐放製剤、貼付薬、即効薬といった多様な製剤が臨床現場で使えるようになった。それぞれの薬剤の特徴とともに、治療における位置づけをまとめた。


 日本神経学会が「パーキンソン病治療ガイドライン2011」を発刊したのは2年前の春。その後、ドパミン受容体を活性化するドパミンアゴニストの徐放製剤や貼付薬、レスキュー薬、新機序の治療薬などが利用できるようになった(図1)。

図1●ガイドライン発刊後に処方可能になった主な治療薬(剤形追加や承認用量拡大を含む)
(編集部まとめ)
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京都大学大学院医学研究科臨床神経学教授 高橋 良輔氏

非ドパミン系の新機序薬が登場
 その中でも関心を集めているのが、今年5月に発売されたアデノシンA2A受容体拮抗薬のイストラデフィリンだ。アデノシン受容体のうち、A2A受容体はパーキンソン病の運動症状発現に際し重要とされる、間接路の線条体ニューロンに特異的に発現している。この受容体を刺激すると、パーキンソン症状を悪化させる方向に作用する。「パーキンソン病患者においてA2A受容体の転写産物が増えているという報告があり、病態の悪化に一役買っている可能性が示唆されている。そのため、この受容体をブロックすることで、症状の改善が期待される」と、日本神経学会のガイドライン作成委員会の委員長を務めた京都大学臨床神経学教授の高橋良輔氏は説明する。

 進行期には、治療薬の有効な時間が短縮し症状が変動するwearing offが起きるようになる。国内の第3相試験において、イストラデフィリンはon時の症状改善だけでなく、off時間の短縮効果が認められた(図2)。レボドパ含有製剤で治療中の運動合併症を併発している患者に12週間投与したところ、1日当たりの平均off時間がプラセボ群よりも20mg投与群で0.76時間、40mg投与群で0.74時間、それぞれ有意に減少した。

図2●イストラデフィリンの最終評価時における1日当たりの平均off時間の変化
(イストラデフィリンの第3相試験結果より作成)
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 アデノシンA2A受容体は他の部位での発現が少なく、イストラデフィリンは間接路に特異的に作用するので、副作用が少ないと考えられる。ドパミン系薬剤の投与量がほぼ上限に達していても、非ドパミン系なので上乗せ効果が期待できるという。また、ドパミン系薬剤で多くの場合に問題となるジスキネジアが動物実験ではほとんど起こらなかった。