また、ADの重症度別にPET画像を並べたところ、タウの蓄積量は認知機能障害の重症度に比例して増加していた。一方、Aβは軽度認知機能障害(MCI)の段階でほぼたまり切っていて、その後はあまり増えていないのが分かる(図2)。

図2●アルツハイマー病の重症度とPET画像(島田氏による)
アミロイドβの集積は既にMCIで最大でそれ以降の変化はあまり見られないが、タウの集積は認知機能低下に伴って増加し、重症度を反映している。
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 さらに、認知機能テスト(MMSE)のスコアとAβ、タウの蓄積量の関係を見ると、タウの量が多いほど認知機能低下は大きく有意な相関を示したが、Aβの量と認知機能低下との関連は示されなかった。

図3 ●大脳皮質基底核変性症患者のタウPET画像(島田氏による)
非アルツハイマー病性タウオパチーである大脳皮質基底核変性症におけるタウの集積は、臨床症状と密接に関係する部位(大脳基底核など、黄色の枠内)に認められる。

 これらの結果からも、Aβよりもタウの方が認知機能の低下と密接に関連していることがうかがえる。タウがたまる変性性認知症にはAD以外にも大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などがある。今回開発された放射性薬剤は、これらの非AD性タウオパチー患者においてもタウの定量化が可能で、その集積は臨床状態と密接に関連する部位に認められたという(図3)。

 なお、タウイメージングに関しては、[11C]PBB3の他に、[18F]-T808という放射性薬剤も開発が進められている。米国Avid Radiopharmaceuticals, IncのHartmuth Kolb氏は、開発中の[18F]-T808を用いたタウイメージングの評価を検死解剖例で行ったところ、解剖例の脳組織像とイメージング画像がおおむね一致したことを今学会で発表した。

 今後、タウの集積と神経病態との関連を解明する上で、さらにはタウを標的とした新規治療薬の効果判定において、タウイメージングは不可欠なツールといえる。「タウイメージングの登場で、遅々として進まなかったタウ研究が加速する可能性がある」と島田氏は話している。