高齢者のLTBI治療は慎重に
 IGRAで結核菌の感染ありと判断された場合は、潜在性結核感染症(LTBI)と判断される。

 今年5月、日本結核病学会は、LTBIの治療に関する具体的な実施方法を、新しい治療指針「潜在性結核感染症治療指針」で示した。

 これは、同学会の予防委員会と治療委員会が合同で作成したもの。今回の指針は、結核菌感染の有無をIGRAで検査し、IGRAで陽性の患者において、(1)感染・発病のリスク、(2)感染診断、(3)胸部画像診断、(4)発病した場合の影響、(5)副作用出現の可能性、(6)治療完了の見込み─を総合的に判断した上で、LTBI治療を行うかどうかを考えるべきとする。

 結核病学会は、これまでにも05年に日本リウマチ学会と合同で、「さらに積極的な化学予防の実施について」という提言を発表し、結核発病リスクのある患者に対する治療(化学予防)の考え方を示していた。ただし、エビデンスに基づく指針として示したのは、この指針が初めて。

「新しい指針の記載は、非専門医が活用できるように工夫した」と話す、結核予防会結核研究所所長の加藤誠也氏。

 「今回の指針の特徴は、結核菌感染者の中でも発病リスクが特に高く、治療を行う有益性が副作用を上回ると考えられる患者に対して、積極的な治療を推奨した点」と、同学会予防委員会委員長の加藤誠也氏(結核予防会結核研究所副所長)は説明する。

 これまでの研究で示されている結核菌感染者における結核発病の相対リスク(表1)を示し、発病リスクが4以上の場合は、LTBI治療を積極的に検討するとした。発病リスクは、リスク因子を持たない人と比べたもので、「世界的なLTBI治療の方向と日本の罹患状況を勘案して、生物学的製剤の使用による発病リスクの4以上を治療を検討すべき患者群とした」と、加藤氏は説明する。