多彩な作用を持つSGLT2阻害薬
 新規経口糖尿病治療薬としては、14年にナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬が、わが国の臨床に登場する予定である。

 SGLT2は近位尿細管に高度に発現しており、ここで尿糖の90%を再吸収している。SGLT2阻害薬は、この尿糖の再吸収を抑制し、尿中に糖を排泄することで血糖値を低下させ、体重を減少させる「従来とは、全く発想が異なる薬剤」(加来氏)である。

 わが国では現在、6種類のSGLT2阻害薬が第3相臨床試験を終え、そのうち5剤は既に承認申請済みである。

 加来氏は「SGLT2阻害薬には、HbA1c減少、体重減少に加えて、血圧減少や尿酸減少などの効果もあり、既存の糖尿病治療薬との併用でも、こうした効果が得られている」と指摘し、「ただし、体重減少は約半年で頭打ちになる。恐らく、このあたりで生体のバランスが取れるためではないか」と語る。

 既に欧州では、世界初となるSGLT2阻害薬としてダパグリフロジンが販売されており、続いて米国でカナグリフロジンが販売になった。

明らかになった長期の安全性
 6種類のSGLT2阻害薬の中で、最も長期にわたるデータを有しているのは、早くから臨床試験をスタートさせたダパグリフロジンである。

 既に52週でのデータが論文になっているが1)、13年6月にシカゴで開催された第73回米国糖尿病学会(ADA)では、208週(4年)のデータが報告された。同試験は、2型糖尿病(814例)を対象として、ビグアナイド薬(メトホルミン)をベースにダパグリフロジン併用群とSU薬併用群とを比較している。その結果、ダパグリフロジン併用群ではSU薬併用群と比べて、52週後から始まったSU薬併用群を上回るHbA1c減少が208週まで維持されており、試験開始直後から認められた体重減少も208週まで維持され、いずれもSU薬併用群に対して有意差が認められた。有害事象の検討では、ダパグリフロジン併用群で低血糖が約10倍低かった。一方、既知の有害事象である性器感染症や尿路感染症は増加した(表1)。安全性全体については予想通りであり、208週までの検討で新規有害事象は認められなかった。

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比較的若年のメタボ型にも有効
 SGLT2阻害薬はどのような患者に最も適しているのか。その点について加来氏は「比較的若年のメタボ型の2型糖尿病に最も適している」と述べる。

 投与に当たって留意すべき点は、「投与初期に脱水が懸念されるので、特に高齢者では脱水に対処できる自立した症例を選ぶことがポイントになる」と指摘する。

 さらに高齢者では、腎機能低下例が多く、有効性の面からSGLT2阻害薬投与は慎重を要する。実際、欧米では推算糸球体瀘過量(eGFR)≧45mL/分/1.73m2という条件が付いている。

 「SGLT2阻害薬は効果が期待できる新しい薬剤なので、最初の1年間は他の経口糖尿病治療薬の効果が不十分なときに併用し、安全性を確かめながら慎重に投与することが望ましい。なお、インスリンの代わりにはならないことは熟知すべきだ」(加来氏)

 最後に加来氏は、「糖尿病治療の目標は、長期間にわたって血糖値をコントロールして、合併症の発症を予防することにあり、その意味で治療薬には長期の安全性が最も求められる」と強調する。

1)Nauck MA, et al:Diabetes Care 2011;34:2015-22.