加来 浩平氏
川崎医大 特任教授

 糖尿病患者数が増加の一途をたどっている。国際糖尿病連合(IDF)の2011年のデータでは、全世界に約3億6600万人の糖尿病患者がおり、わが国は約1070万人で世界第6位となっている。さらに、30年には全世界の糖尿病患者数は51%増の約5億5200万人に達すると推定されている。

 特に、わが国を含むアジア諸国での増加が顕著な理由について、川崎医大特任教授の加来浩平氏は、「人種的に見て、糖尿病を発症しやすい関連遺伝子を持っていることが影響している」と話す。

 さらに、「日本人の場合、肥満が特に顕著というわけではない。しかし、膵β細胞の予備能が低くインスリン分泌が十分ではない症例が多い」と指摘する。

 一方、現在では中年発症のメタボ型という欧米で主流のタイプも増加しており、「わが国の2型糖尿病には、病態の多様性が認められるようになってきた」(加来氏)。

HbA1c 7.0%未満を維持
 本年5月に熊本で開催された第56回日本糖尿病学会学術集会では、HbA1c(NGSP値)の新たな評価基準が報告された。新評価基準では、これまで5段階としていたHbA1cの目標値を、6.0%未満、7.0%未満、8.0%未満の3段階に集約した。

 基本は、合併症予防のための目標である7.0%未満とし、“あなたとあなたの大切な人のためにKeep your A1c below 7%”という「熊本宣言2013」が発表になった。

 なお、8.0%未満は治療強化が困難な際の目標、6.0%未満は血糖正常化を目指す際の目標である。

 「熊本宣言2013」に対して加来氏は、「インスリン治療中の日本人2型糖尿病(110例)を対象としたKumamoto studyは、HbA1c(JDS値)6.5%未満で細小血管合併症のリスクが低下することを明らかにした(図1)。NGSP値では6.9%となるが、ほぼ7.0%なので、世界共通のこの値を合併症予防の目標とすることは理にかなっている」と指摘し、「このエビデンスが得られた熊本の地で、今回、宣言が出されたことの意義は大きい」と述べる。

早期介入が非常に重要
 この目標値を達成するためには、ライフスタイルの改善を基本とし、効果が不十分なら各種糖尿病治療薬を使うことになる。

 経口血糖降下薬に関しては、個々の病態に合わせ、インスリン抵抗性改善系、インスリン分泌促進系、食後高血糖改善系の中から選ぶ。

 「まず病態に合わせ1剤を選択し、効果不十分な場合は、早めに作用機序の違う薬剤を併用する。病態によっては3剤併用が必要になる場合も少なくない」と加来氏は話す。

 また、「糖尿病の病態が進行すると膵β細胞が質・量ともに低下して薬剤の効きが悪くなるので、早期介入が非常に重要である」と指摘する。