食事療法と運動療法では十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に、週1回投与型のDPP4阻害薬SYR-472(trelagliptin)を12週間投与したところ、HbA1cはプラセボ群と比べて有意に低下した。また有害事象の発現率は、プラセボ群と大きな差がなかったことが明らかになった。これらは同薬の第2相試験の結果で、京都大学糖尿病・栄養内科学の稲垣暢也氏が発表した。

 SYR-472は週1回投与型のDPP4阻害薬で、現在開発が進められている。第1相試験では、血中半減期が38〜54時間で、既存の1日1回投与型のDPP4阻害薬よりも長く、DPP4阻害活性作用は投与168時間後まで維持したことが報告されている。

 主要評価項目は、投与12週間後におけるHbA1cのベースラインからの変化量とした。副次評価項目はHbA1c、空腹時血糖値(FPG)などとした。

 対象の選択基準は、スクリーニング開始4週間後のHbA1cが6.9%以上かつ10.5%未満とした。8週間のスクリーニング期間後に、SYR-472投与群とプラセボ群(55例)に無作為に割り付け、二重盲検下で12週間投与した。なお、SYR-472群は投与量に応じて、12.5mg(54例)、25mg(51例)、50mg(51例)、100mg(55例)、200mg(54例)の5群に分けた。

 患者背景を見ると、平均年齢が57.8〜61.6歳、男性割合が50.9〜66.7%、BMIが24.78〜25.78、糖尿病罹病期間が69.3〜93.8カ月、HbA1cが7.84〜8.41%、FPGが158.3〜170.0mg/dLだった。

 主要評価項目である投与12週間後のHbA1c変化量は、プラセボ群が0.35%だったのに対し、12.5mg投与群が−0.37%、25mg投与群が−0.32%、50mg投与群が−0.42%、100mg投与群が−0.54%、200mg投与群が−0.55%と、いずれの群もプラセボ群と比べて有意に低下した(P<0.0001)。また、用量依存性が認められ、SYR-472投与量が多いほどHbA1cの低下量は大きい傾向があった。HbA1c変化量の経時変化を見ると、SYR-472を投与した群はいずれも投与開始2週間後には有意に低下し、投与12週間後まで低下し続けた。

 次に、投与12週間後のFPG変化量を見ると、プラセボ群の9.8mg/dLに対し、12.5mg投与群は−5.4mg/dL、25mg投与群は−10.5mg/dL、50mg投与群は−7.6mg/dL、100mg投与群は−11.5mg/dL、200mg投与群は−12.4mg/dLと、いずれの群もプラセボ群と比べ有意に低下した(P<0.05)。また、用量依存的に低下する傾向が見られた。FPG変化量の経時変化は、SYR-472投与群はいずれも投与開始2週間後には大きく減少し、投与12週間後までその値を維持する傾向が確認された。

 DPP4活性阻害率の経時変化に関しては、投与2週間後にピークに達し、投与12週間後まで維持されたほか、用量依存的に阻害率が上昇した。

 有害事象の発現率は、プラセボ群とSYR-472投与群との間に大きな差はなかった。薬剤関連の有害事象の発現率はプラセボ群が3.6%、12.5mg群が7.4%、25mg投与群が9.6%、50mg投与群が11.8%、100mg投与群が9.1%、200mg投与群が5.6%だった。重篤な有害事象が50mg群と200mg群でそれぞれ1例確認されたが、「薬剤との因果関係は否定されている」(稲垣氏)。

 各群において3%以上の発現率だった有害事象は、鼻咽頭炎、咽頭炎、胃腸炎、膀胱炎、湿疹などだった。いずれの群においても低血糖は認められなかった。

 これらの結果から稲垣氏は、「週1回投与する新規のDPP4阻害薬であるSYR-472は、2型糖尿病患者の血糖コントロールを有意に改善し、有効性および忍容性において優れていた。1日1回投与する既存のDPP4阻害薬と同等の有効性があるといえ、今後の糖尿病治療において新しい治療選択肢となることが期待される」と語った。