外来で標準化されたフットケアを実施することで、糖尿病足病変ハイリスク患者において足切断などの重症化が抑制されることが示された。国立病院機構京都医療センターをはじめとする多施設共同研究により明らかになったもので、同センターの河野茂夫氏らが発表した。

 糖尿病足病変入院患者の足切断率は、国立病院15施設の共同研究(1996〜2009年)によると、1996年は34%、2000年は41%、06年は33%、09年は37%だった。この研究で課題の1つとして浮かび上がったのが、施設間格差が大きいことだった。例えば、外来通院中に発症した患者の足切断率は23.5±27.3%と、ばらつきが大きかった。

 そこで河野氏らは、国立病院を中心とする14施設に参加を求め、糖尿病足病変ハイリスク患者への外来での予防的フットケアの有効性に関する研究を実施した。

 今回の検討対象は、足潰瘍既往、足切断既往、重症下肢虚血、重症神経障害、透析を合併する糖尿病足病変ハイリスク患者とした。また、フットケア技術を標準化するため、全ての参加施設においてフットケアを担当する医療従事者を対象に研修会を実施し、フットケア患者教育用資材(セルフ・フットケアノート)を作成、配布した。

 対象患者114例を強化介入施設群(88例)とコントロール施設群(26例)に振り分け、強化介入施設では外来受診時に医療従事者が毎回、足のチェックと指導を行った。また、必要に応じ、爪切り、角質処置、足洗浄などのスキンケアや、靴の作製を実施した。患者に対しては、自宅で行うセルフケアを指導し、記録を残すようにした。

 一方、コントロール施設群では、従来のフットケアを継続し、必要に応じて足のチェックおよび指導とスキンケアを行った。

 登録時の患者背景は、年齢が62.4歳、男性が71%、推定罹病年数は19.4年。足潰瘍・壊疽既往歴の割合は80.7%で、足切断歴も38.6%と高かった。閉塞性動脈硬化症は37.7%、末梢神経障害は91.2%に認めた。

 主要評価項目は、足潰瘍発症率、足切断率とし、副次評価項目は、入院加療率、入院期間、入院医療費、フットケアの知識度、セルフケアの実施率、QOLの評価とした。

 その結果、試験開始から24カ月における足切断率は、強化介入施設群が2.9%だったのに対し、コントロール施設群は5.6%と、強化介入施設群で少なかった。一方、足潰瘍発症率は、強化介入施設群が52.9%、コントロール施設群が16.7%と、強化介入施設群で高かった。

 このため、足潰瘍発症例における足切断率を見たところ、強化介入施設群は5.4%にとどまっていたが、コントロール施設群は33.3%と高率だった。両群の背景を調べたところ、足潰瘍歴は強化介入施設群が85.2%、コントロール施設群が65.4%で、強化介入施設群の方が多かった。つまり、足切断の可能性の高い症例が多かったにもかかわらず、強化介入施設群では足切断の発生が抑制されていたことが分かった。

 これらの結果から河野氏らは、「糖尿病足病変ハイリスク患者においては、外来での標準化されたフットケア介入によりセルフフットケアの実施率が高まり、足潰瘍の発症はあっても、足切断などの重症化は予防されていた」と結論した。

 また、足潰瘍歴、進行した神経障害、胼胝、足変形があり、心の健康度が低いなどの症例では、足潰瘍を発症しやすいことも明らかになったとし、「こうした症例では発症予防のためのフットケアがより必要である」と考察した。