12カ月後にHbA1cは有意改善
 この体系的血糖測定は、前向きの多施設無作為化比較試験「STeP」研究で効果が検証されている。

 対象患者は、インスリン治療を行ったことがない、コントロール不良の2型糖尿病患者483例。平均年齢は55.8歳、平均罹患期間は7.6年、平均HbA1cは8.9%だった。参加施設のうち21施設の256例を体系的血糖測定を行う「体系的SMBG群」に、13施設の227例を対照群に、無作為に割り付けた。

 両群の患者はあらかじめSMBGについての基本的なトレーニングを受けた上で、体系的SMBG群では本法に基づいたSMBGを行った。受診間隔は3カ月ごとで、毎回の受診前3日間に集中的血糖測定を行い、その記録シートを医師に見せてフィードバックを受けた。医師は、必要であればあらかじめ定められたプロトコルに基づいて、治療内容やSMBGの測定タイミングなどを変更した。

 対照群では、担当医師が普段行っている指導に従ってSMBGを行い、3カ月ごとの受診時にデータを提出した。医師はそれも参考にしながら、通常の治療を実施した。

 12カ月後、体系的SMBG群は対照群に比べ、HbA1cが0.3%(95%信頼区間−0.54〜−0.01%)、有意に低下した(P=0.04、図2)。また、両群ともSMBGの測定回数が多いほど、HbA1cの低下が大きくなる相関関係が見られた。

図2●STeP研究におけるHbA1cの推移
(出典:Polonsky WH,et al.Diabetes Care 2011;34:262−7.)

診察時間の短縮にもつながる
 うつ症状の程度を示すPHQ−8テストの結果は、両群とも試験期間を通じて良好になる傾向が見られたが、群間に有意差はなく、体系的SMBG群の患者が余計なストレスを感じている傾向は認められなかった。

 これらの結果から研究グループは、体系的血糖測定は2型糖尿病患者の血糖コントロール改善に有用と結論した。

 体系的血糖測定が提供する治療プロトコルは、患者の血糖パターンによって多様だ。例えば、2型糖尿病の81歳女性(BMI 26.8、HbA1c 8.3%)の場合、基本的には高血糖が続き、夕食後に低血糖気味になる傾向があった。集中的な測定の結果、夕食の食事量が少ないために食後は低血糖気味になり、この低血糖を避ける目的で頻繁に補食することで、その後に高血糖状態が続いてしまうことが明らかになった。

 そこで、インスリン投与量を調整した上で、食前の血糖値が高くても食事量は減らさないこと、補食は低血糖時のみにすることを患者に指導した。その結果、8.3%だったHbA1cは3カ月後には7.6%になった。

 また体系的血糖測定によって、日常の診療がスムーズになることもメリットの1つという。「記録シートに多くの情報が書き込まれているので、診察室で医師が改めて質問しなくて済む。丁寧な診療を行いつつも、診療時間の短縮が可能だ」とBootle氏は話している。