糖尿病患者は認知症の合併リスクが高いとされる。両疾患を合併した患者を調べたところ、血糖管理が悪いほど周辺症状が強く、中でも過食、昼寝が有意に多いことが示された。



国立長寿医療研究センターもの忘れ外来部長の櫻井孝氏

 国立長寿医療研究センターもの忘れ外来部長の櫻井孝氏らは、糖尿病と認知症の合併患者について、周辺症状などの検討を行った。

 対象は、同センターを受診するアルツハイマー病または軽度認知機能障害の患者252例(65〜85歳)。うち161例は糖尿病ではなく(非糖尿病群)、糖尿病で薬物治療を受けていた患者は91例。これら糖尿病患者をHbA1c<7%群(39例)とHbA1c≧7%群(52例)の2群に分けた。

 非糖尿病群、HbA1c<7%群、HbA1c≧7%群を比べると、3群間で総合機能評価(基本的ADL、介護負担など)や認知機能(MMSE、ADASなど)において差は見られなかった。

 そこで、行動・心理症状などの周辺症状について、認知症行動障害尺度(DBD)を用いて評価を行った。すると、非糖尿病群に比べてHbA1c≧7%群はDBD総合点が有意に高く、昼寝、過食などの周辺症状が有意に多かった(いずれもP<0.05、表1)。

表1●糖尿病と認知症の周辺症状の関連(櫻井氏による)

 HbA1c値で3分位したところ、5.5〜6.7%の群では、DBDの点数は非糖尿病群と変わらなかったが、6.8%以上になると、非糖尿病群よりも有意にDBDの点数が高く、周辺症状が多くなった(図1)。

図1●HbA1c値と周辺症状の関連(櫻井氏による)

 櫻井氏は、「認知症の患者は徐々に痩せていく傾向が強く、これまで過食は見過ごされてきた。しかし、糖尿病では血糖コントロールを悪化させるため注意が必要だ」と話す。

 一方、過食と昼寝との関連を見たところ、昼寝時間が長くなるほど過食をする割合が高かった。昼寝を全くしない群において過食ありは7.2%だったのに対し、3時間未満では16.0%、3時間以上では38.5%に上った。櫻井氏は、「患者は自分で買ってきてでも食べる傾向があり、過食をやめさせることは容易ではない。しかし、昼寝を少なくさせることが過食の軽減につながるかもしれない」と語る。

 認知症と糖尿病は、影響し合って互いに病気を悪化させる。「両疾患を合併している場合には、血糖コントロールに注意すると同時に、過食や昼寝などの周辺症状にも注意を払うことが大切だ」と、櫻井氏は話している。