図2●薬剤投与による呼吸抵抗の変化(MostGraph−01による)
COPD患者にプロカテロール塩酸塩を投与すると、20分後に呼吸抵抗は低下した。
(出典:チェスト社資料)
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図3●呼吸フェーズにおけるCOPD患者の重症度別呼吸抵抗値
(出典:Ohishi J,Kurosawa H,et al.BMJ Open.2011;1:e000184.)

 同装置の開発に関わった黒澤氏は、「気道の閉塞・拡張を高感度で検出でき、量的変化が分かるので治療の評価に有用だ。患者の状態を把握するのに適した“もう1つの聴診器”になる。喘息患者に気管支拡張薬を投与すると、ただちに呼吸抵抗が減少することが分かるので、薬剤の効果を確認する際にも役立つ」と語る。

 スパイロメトリーとの相違を示す典型例として、以下の2つが挙げられる。1つは、治療の前後で1秒量を測定しても十分な改善が認められず、治療抵抗性と見なされた患者でも、喘息の症状が改善しているケースがある。その場合に、広域周波オシレーション法で検査をすると呼吸抵抗が減少していることが多い。もう1つは、咳喘息の症状を呈する人では、喘息様の咳が出るもののスパイロメトリーによる1秒量は低下していない。しかし、同法で検査すると、しばしば呼吸抵抗値の増加が見られる。

 こうした乖離について黒澤氏は、「広域周波オシレーション法による呼吸抵抗値の変化は、スパイロメトリーで検知できる前段階の変化を捉えている可能性がある」と指摘する。

 一方、同法にも苦手な測定対象や課題はある。現在のところ、肺胞が破壊される気腫性変化や末梢気道病変についての所見の解釈が難しい。また、導入している医療機関は増加しているものの、まだ少数であるため、正常値が十分に提示されていない。黒澤氏は、「正常値については、導入医療機関で共同研究を進める方針だ。日本呼吸器学会の肺生理専門委員会でも検討する予定にしている」と語る。