マクロライドや喀痰調整薬も有用
 主な増悪予防策は、禁煙、ワクチン、薬物治療の3つ。禁煙すると増悪が3分の1に減少するとされており、有効な手段といえる。また、喫煙者は非喫煙者に比べ、増悪頻度が高い。

 ワクチン接種も増悪抑制が期待できる。インフルエンザワクチンは、全てのCOPD患者に対し接種が勧められるとガイドラインは明記している。増悪頻度を減少させるだけでなく、増悪による死亡率を半減させるとの報告があるためだ。肺炎球菌ワクチンでは、全患者に推奨できるエビデンスはないが、65歳未満で非常に症状が重い患者では有効だった。両ワクチンを併用すると、インフルエンザワクチン単独使用に比べ、感染性増悪の頻度が減少することも分かっている。

 薬物療法は、長時間作用性の気管支拡張薬やマクロライド抗菌薬、喀痰調整薬が候補となる。

 メタ解析により、ICS、LABA、LAMAは増悪頻度を20〜30%減少させることが示されている。そのうち、LAMAとLABAといった長時間作用性の気管支拡張薬は安定期における第一選択薬でもあり、通常の治療を確実に行うことが増悪予防につながる。収縮、拡張という機械的刺激により気管支上皮から様々なサイトカインが放出され、増悪を引き起こすが、気管支を常に拡張しておくことで、そうした機械的な刺激を減らす。さらに、LABAは繊毛運動の障害抑制、LAMAは痰の分泌抑制という作用も有しており、両薬とも気管支拡張作用に加え、それぞれのレセプターを介した特異的な作用により増悪を減少させるとされる。従って、いずれかの薬剤で効果が不十分な場合、併用は有用と考えられる。

 マクロライド抗菌薬は増悪抑制効果を有するが、「抗菌作用というよりも、好中球の炎症抑制作用によって有効性を発揮しているのだろう」と一ノ瀬氏。全増悪頻度の抑制だけでなく、重症の増悪頻度の抑制、増悪による外来受診や入院の頻度抑制、増悪に対する治療介入時の増悪の持続期間の短縮、次の増悪が生じるまでの期間の延長、QOLの向上などが報告されている。また、増悪頻度の抑制効果はLABAやLAMA、ICSを使用している患者でも認められている。エリスロマイシンやクラリスロマイシンの場合は少量長期内服となるが、耐性菌の検出頻度の変化はこれまで認められていない。

 喀痰調整薬は痰の粘弾性の改善に加え、強くはないものの抗酸化作用などを有しており、それらにより有効性を発揮しているとされる。

 近年、COPDの治療に使える薬剤の選択肢が増えている。一ノ瀬氏は「それぞれの薬剤の特徴を把握した上で、増悪予防も考慮した治療を行ってほしい」と話している。