さらに、第4版では具体的な治療手順を示したアルゴリズムを新たに作成(図2)。患者の状態ごとに推奨される薬物療法と非薬物療法を、それぞれ明示した。

図2●安定期COPDの管理のアルゴリズム
(出典:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版)

 薬物療法では、強い労作時のみ呼吸困難の症状が出現するときは、必要に応じて短時間作用性気管支拡張薬を使用するとした。さらに病状が進行し、労作時に呼吸困難の症状が現れるようになれば、LAMAまたはLABAを投与する。

 LAMAとLABAでは気管支を拡張させる機序が異なり、併用することで気管支拡張作用の増強が得られることから、単剤投与で症状が十分に改善しない場合には「両薬の併用(テオフィリンの追加)」を勧めている。さらに、喘息合併例や頻回の増悪を繰り返す患者に対しては、吸入ステロイド薬(ICS)や喀痰調整薬を追加するよう求めた。

 ただし、LAMAとLABAの併用に関しては、「併用投与に関するデータは患者数がそれほど多くなく、エビデンスとしてまだ十分とはいえない」(永井氏)ことから、両薬を併用せずにICSあるいは喀痰調整薬を追加するという選択肢も残した。

 一方、非薬物療法では、禁煙、喫煙曝露からの回避、インフルエンザワクチン、身体活動性の向上と維持の4つを実践することとしている。症状が進行した場合は、これらに呼吸リハビリテーションを追加し、身体活動性の維持を目指す。喘息合併や頻回の増悪が見られる場合は、さらに酸素療法や換気補助療法、外科療法を考慮すると記載している。

自覚症状に乏しい可能性を追記
 COPDの疾患定義については、自覚症状に乏しいケースがあることを明記したのが大きな変更点だ。この理由を永井氏は、「一般に疾患定義は曖昧な表現を避けるものだが、患者を早期に見つけ出すとともに見逃しをなくし、数多くのCOPD患者の診療に当たってほしいため」と説明する。日本ではCOPDという疾患そのものの認知率が低いことに加え、患者が症状を自覚しにくく、呼吸機能の低下を加齢によるものだと誤解しやすいという事情がある。そのため、なかなか医療機関を受診しないので、早期発見が容易でない。

 増悪に関しても、定義を若干修正した。具体的には、増悪前に出現する症状として、胸部不快感・違和感の出現あるいは増強があることを追記し、早期から増悪を想定した治療の実施を求める内容にした。いったん増悪すると、QOLや呼吸機能が低下するだけでなく、次の増悪を起こしやすくなり、生命予後がより悪化することが分かっているからだ。

 呼吸リハビリテーションについては、運動耐容能だけでなく身体活動性の維持が重要であるという考えを明確に示した。

 東日本大震災後初めての改訂となることから、震災など災害時の対応にも言及。平時から起こり得る状況を想定し対策を準備しておくことや、口すぼめ呼吸などの呼吸トレーニングが不安や低酸素血症を緩和するために有効であることを明記した。また、在宅酸素患者への対応、酸素供給業者との連携など事前に検討しておくことを勧めている。

 今後もガイドラインの改訂は3、4年おきに行う予定。近年、LAMAやLABA、LABAとICSの合剤が上市され、さらに今後はLAMAとLABAの合剤の開発も進むなど、新しい薬剤が引き続き発売される見込みだ。そうした新薬の位置付けについては、「必要に応じて年1回をめどにホームページなどに掲載していく方向性が議論されている」(永井氏)という。