日本呼吸器学会による「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」が4年ぶりに改訂された。COPD患者を見逃すことなく早期に拾い上げ、個々の患者の病態に応じた診療を行うよう求めている。ここでは、安定期の薬物療法と増悪への対応を中心に紹介する。


東京女子医科大学統括病院長の永井厚志氏

 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)は患者ごとに病態が異なり、最近では全身性疾患として捉えることが求められている。また、疾患を早期に発見し、早期に治療を開始することで、呼吸機能やQOLの低下をより抑制することができる。ガイドラインの記載内容を踏まえて総合的に判断し、一人ひとりの患者に適切な医療を提供してほしい」。日本呼吸器学会COPDガイドライン第4版作成委員会の委員長を務めた東京女子医科大学統括病院長の永井厚志氏は、こう強調する。

 そのため新ガイドラインの作成に当たっては、COPD患者をどう診療したらよいかを示す手順書となるように心がけたという。海外のガイドラインの内容を単純に翻訳するのではなく、日本人のエビデンスを重視して作成した。

第一選択薬はLAMAとLABAに
 今回の改訂の主なポイントとして、(1)疾患定義の加筆修正、(2)COPDの病態概念のアップデート、(3)薬物療法のアップデート、(4)増悪の重要性、(5)運動耐容能から身体活動性への概念の転換、(6)災害などへの対応、(7)文献のエビデンスレベルの記載と用語の統一─の7点が挙げられる。

 第3版の発刊後に長時間作用性の気管支拡張薬が複数発売されたため、それらの最新のエビデンスを踏まえ、安定期患者への第一選択薬を一部変更した。以前のファーストチョイスは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であり、次の選択肢が長時間作用性β2刺激薬(LABA)だった。しかし、今回はLAMAとLABAを同等に推奨している(図1)。

図1●安定期COPDの管理
重症度はFEV1の低下だけではなく、症状の程度や増悪の頻度を加味し、重症度を総合的に判断したうえで治療法を選択する。
*増悪を繰り返す症例には、長時間作用性気管支拡張薬に加えて吸入ステロイド薬や喀痰調整薬の追加を考慮する。
(出典:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第4版)