有効性解析の主要評価項目は、16、24時間後におけるトロポニンI濃度のベースラインからの変化率に設定された。16時間後の変化率は、プラセボ群が77.4%増、5mg群が71.3%増、20mg群が37.6%増、また24時間後の変化率は順に57.7%増、55.5%増、19.1%増と、いずれの群も16時間後がピークだった(図1)。5mg群はプラセボ群との有意差が認められなかったが、20mg群は抑制の傾向が認められた。

図1●トロポニンI の推移(有効性の主要評価項目)

 CK-MB濃度のベースラインからの変化率を見ると、同じく5mg群はプラセボ群との有意な差がなかったが、20mg群では抑制傾向が見られた(図2)。また、P-セレクチン濃度は8時間後において、20mg群はプラセボ群より有意に低かった(図3)。

図2●CK-MB の推移(有効性の副次評価項目)

図3●血漿可溶性P-セレクチン濃度の推移

 安全性に関しては、重篤な有害事象の発現率はプラセボ群が18.3%、5mg群が24.0%、20mg群が25.6%と、inclacumab投与群でやや高かった。しかし、感染症(順に12.0%、10.6%、10.8%)や120日までの出血頻度(順に5.1%、6.1%、4.0%)は同程度だった。

 これらの結果を踏まえTardif氏は、「NSTEMI患者へのinclacumab単回投与はPCIによる心筋ダメージを軽減させることが示唆された」と結論。さらに、「今後は、PCI施行の有無にかかわらず、MI患者における同薬の臨床的有用性を検証する必要があるだろう」との見解を示した。