高血圧を合併した閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者は、高アルドステロン血症を呈している例が多いと報告されている。このような患者に抗アルドステロン薬を投与すると、睡眠時無呼吸の症状も改善する可能性がある。同症候群の薬物治療として期待できそうだ。


 高血圧は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に多い合併症だ。日本循環器学会が作成した「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」では、SASの主要な病型である閉塞性SAS(OSAS)の50%が高血圧を合併するという。

 OSASでは、夜間の無呼吸によって繰り返される低酸素血症(間歇的低酸素)により交感神経が活性化する。その結果、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の亢進、酸化ストレス亢進による血管内皮機能障害などが起こるため、高血圧を発症すると考えられている。

SAS患者はアルドステロン高値
 米国アラバマ大学のグループは、治療抵抗性高血圧を伴う高アルドステロン血症にはOSASの合併が多いことに着目。治療抵抗性高血圧合併OSAS患者に、カリウム保持性利尿薬で抗アルドステロン作用を持つスピロノラクトンを投与し、OSASに対する効果を検討した(図1)。

図1●睡眠時無呼吸症候群12例に対するスピロノラクトンの効果

 その結果、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定する指数である無呼吸低呼吸指数(AHI)や低呼吸指数(HI)などが、8週後に有意に低下した。

九州大学病院睡眠時無呼吸センター副センター長 西坂 麻里氏

 九州大学病院の睡眠時無呼吸センターで副センター長を務める西坂麻里氏は、「治療抵抗性高血圧を合併したOSAS患者では血中アルドステロンが相関して高値になっており、抗アルドステロン薬は高血圧のみならずOSASの治療にも有用な可能性がある」と語る。

 このことから西坂氏は、高血圧を合併したOSAS患者に新規抗アルドステロン薬で受容体選択性が高いエプレレノンを投与し、その効果を検討した(図2)。対象は、50歳代の男性。終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査による診断では、AHI56.3/hr、覚醒指数34.9/hr、最低経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)73%で、AHIの正常値5/hr以下を大きく上回る重度のOSASだった。

図2●重度OSASがエプレレノン投与で改善した50歳代男性(西坂氏による)
オートCPAPを装着した患者の1カ月間のCPAP圧変動を示した。治療圧の変動幅は、最小圧力4cmH2O、最大圧力13cmH2Oと設定した。オートCPAPではセンサーが必要な治療圧を感知し、変動幅内で治療圧を変動させる。90%CPAP圧はその時間帯における時間と圧力の積分値の90%を占めた圧力であり、実態を把握する上では全体の平均CPAP圧以上に有用だ。エプレレノン開始2カ月後に平均90%圧が低下し、OSASの病態が改善したと考えられた。