EVT施行後12カ月間、下肢切断を回避でき、かつ生存した非切断生存率(AFS)は、全症例の74%だった(図2)。この結果から、CLIに対するEVTの有効性が示された。

図2 ●12カ月間の非切断生存率(AFS)の推移

 リスク因子(BMI 18.5kg/m2未満、スタチン投与、貧血、心不全、創傷感染)の数別に、リスク因子を有さない低リスク群、1つ有する中等度リスク群、2つから3つ有する高リスク群に分けた場合のAFSは、順に85%、65%、48%で、リスク因子が増えるほどAFSは有意に悪化していた(P<0.001)。

 初期治療成功率は93%と高かったが、12カ月後までに34%に再介入が行われた。これは、膝下部の細い血管には挿入できるステントがないことも一因だ。バルーンで狭窄した血管を開大するだけでは、再狭窄率が高い。飯田氏は、「現在臨床試験が予定されている薬剤溶出性バルーンが使えるようになれば、さらなる治療成績の改善が期待される」と語る。

 加えて本研究では、健康関連のQOL尺度であるEQ-5Dを評価した(図3)。QOLはEVT施行1カ月後から12カ月後まで、有意に改善した。この結果について飯田氏は、「一度しっかりと治療を行えば、再介入が必要になっても、それによって患者のQOLが下がることはない」と評価する。

図3 ●12カ月間の患者QOLの推移

ABIや触診で早期発見を
 下肢切断に至る主なリスクは、Rutherford分類が6群(広範な組織喪失、壊死)で傷が大きいこと、傷が感染していること、糖尿病を合併していることの3つ。このようなリスクを持つ患者は、すぐに専門の医療機関を受診させる必要がある。だが、患者自身がかなり悪化するまで受診せず、治療が間に合わずに切断に至る場合がある。

 糖尿病に罹患して一定の期間が経過すると、高率で糖尿病神経障害を合併する。そうなると、本来であれば痛みを感じるほど足の血流が低下していても、痛みを感じにくくなり、受診までに時間がかかってしまうことになる。

 その他にも患者の受診が遅れる理由として飯田氏は、胸部痛や皮膚症状などと違い、足の痛みではどの診療科を受診すべきか、患者が判断しにくいことを挙げる。整形外科にとどまらず、皮膚科や形成外科を受診する患者もいる。

 受診時に一度CLIを見逃すと、数週間後に来院したときにはかなり悪化していることもある。常にPADやCLIの可能性を念頭に置いていなければ、治療の時期を逸する可能性がある。

 ではPADやCLIを疑うのはどのような患者なのか。飯田氏は、「高齢、糖尿病罹患、喫煙、透析、他の動脈硬化性疾患の治療歴があるなどの条件に当てはまる患者が足の痛みを訴えていれば、PADを発症している可能性が高い。足関節上腕血圧比(ABI)や触診によって末梢の血行を評価してほしい」とアドバイスする。

 ただし、CLIでは血管の状態がかなり硬化している場合もある。そのような例ではABIの値が低くならず、偽陰性を呈する。飯田氏は、「これは皮膚灌流圧(SPP)を測定すれば判断できるので、疑わしければPADに積極的に取り組む施設にすぐ紹介してほしい」と話している。