進行した閉塞性動脈硬化症(PAD)で潰瘍や壊疽も伴うような重症虚血肢(CLI)の治療法として、カテーテルによる血管形成術(血管内治療;EVT)が有効なことが、多施設共同前向き研究のOLIVEレジストリーによって示された。CLIは、数週間で急激に悪化し下肢切断に至るケースもあり、早期診断が重要だ。


関西労災病院循環器内科の飯田修氏

 PADは、高血圧や糖尿病といった生活習慣病、加齢、喫煙などに起因する。中でも症状が進行し、PADの重症度評価に用いるRutherford分類が4群(安静時下肢痛)以上となると、CLIに分類される。さらに重症化すれば潰瘍・壊疽が発症、下肢の大切断に至る場合もある。

 関西労災病院(兵庫県尼崎市)循環器内科の飯田修氏は、「CLIで下肢切断に至れば、患者のQOLやADL、自発性が低下するだけでなく、介助する人が必要となるなど療養環境も厳しくなる。そうなる前の対応が重要だ」と訴える。特に高齢者の場合は切断後に寝たきりとなりやすいため、下肢の温存を第一に考える必要がある。

日本人におけるEVTの予後明らかに
 CLIの下肢温存標準治療法は、EVTもしくはバイパス術による血行再建術だ(図1)。近年のEVTのデバイスや手技の進歩は著しく、例えば現在使われているバルーンカテーテルはバルーンが最長22cmもあり、足先の血管にもバルーンを到達させられるようになっている。それに伴い、EVTの成績も向上してきた。

図1● CLIに対する下肢温存標準治療法(飯田氏による)

 しかし、日本人のCLI患者を対象にEVTの有効性と安全性を評価した大規模な臨床試験は、これまで行われていなかった。そこで飯田氏が所属する関西労災病院など日本の19施設が、多施設共同前向き研究であるOLIVEレジストリーを行った。

 同研究では、EVTによる血行再建術の適応と診断された20歳以上のCLIで、1年以上観察が可能と判断された患者を対象とした。下肢大切断の既往があったり、広範な虚血性潰瘍・壊疽がありEVT後大切断が必要と判断される可能性のある患者などは除外し、312例(平均年齢73.1歳、男性65%)で解析を行った。

 CLIの大きなリスクは糖尿病、透析、喫煙だ。同試験の患者背景でも、約半数に喫煙歴があったうえ、糖尿病は約7割、腎不全は6割弱で合併し、約5割は透析を行っていた。