MTX/生物学的製剤治療で手術の意義が変わる
 RA患者をみていく過程で、生物学的製剤によって全身状態が良好にコントロールされているが、骨破壊が進んでしまった片方の膝だけが痛い――そんな状態であれば、生物学的製剤の切り替えを検討するよりも手術に踏み切った方がよいかもしれない。股、膝などの荷重関節では、1関節だけでもVAS(visual analog scale)値が高く、DAS(Disease Activity Score)も高値になる。このような場合、人工関節を1つ入れるだけで一気に寛解になることがある。

 最近では、患者さんが自ら関節手術を望むケースも増えた。身体のあちこちの関節に腫脹があり、痛みに苦しんでいると、なかなか手術に同意してもらえないが、生物学的製剤の投与で全身状態が改善すると、「ここさえ治せば身体が楽になる。手術してほしい」と自分から訴えてくる。手術の意義が変わりつつあるようだ。

 興味深いことに、生物学的製剤を使っている患者さんでは手術の感触が全く違う。皮質骨が硬く、骨髄がしっかりしている。内部で金属が緩むような非常に弱い骨に遭遇する機会は以前に比べ、3割程度減少した。人工関節の寿命も伸びるのではないか。

岡山でリウマチネットワークが始動
 岡山県ではこのほど、RA診療の中核病院約10施設のリウマチ専門医が発起人となって、「OKAYAMAリウマチネットワーク」を発足、今年7月22日に第1回の研究会を行った。目指すのは、県内のどこでも同じ水準の高度なRA診断・治療を受けることができる体制作りだ。

 本県は以前からRA診療が盛んな地域で、旧勤務医や同門の医師を中心とした地域の開業医とそれぞれ連携を持ってきた。こうした従来の小さなネットワークの集合体を作ることで、例えば内科開業医が整形外科リウマチ専門医のセカンドオピニオンを聞きたい、などといった連絡ができるようにする。

 本ネット構築で大きな課題だったのが、呼吸器内科との連携だ。一般病院や開業医の場合、重篤な呼吸器疾患が発生すると対処が難しい。そこで、県内の呼吸器内科専門医のほとんどが集まっている岡山難病医療連絡協議会に協力を要請したところ、趣旨への賛同を得ることができた。呼吸器合併症は年に1〜2回しか起こらないまれなものだが、これでようやく現場の医師が安心してリウマチ治療に取り組む体制ができた。

 今後は、開業医に本ネットワークへの参加を呼び掛けていく。ネットワーク自体の運用のほか、中核病院の医師や外部の講師による講演、一般演題の発表を通して、参加者のレベルアップを図る。

 本ネットワークでは、地域連携パス、患者説明文書、生物学的製剤のパス、患者紹介用紙、逆紹介用紙、などを短時間で作成できるデータを用意しており、ホームページから誰でもダウンロードできる。似た事情の地域で参考になるなら、資材提供は惜しまない。

 達成には20年かかるかもしれないが、岡山県がリウマチ治療に関して幸せな県になるように努力していきたい。(談)