2009/11/5

ACR2008リコメンデーションに“現場での課題”あり

感染症や経済的困難抱える患者が多い現場では禁忌が続発

中沢 真也=日経メディカル別冊

 米国リウマチ学会ACR/EULAR)が2008年に公表した関節リウマチRA)の薬物治療勧告(ACR2008リコメンデーション)を実際の診療に適用する場合、感染症についての禁忌や患者の経済的状況などにより、生物学的製剤を投与できない症例が比較的多い可能性が指摘された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJennifer L. Barton氏らが、このほど米フィラデルフィアで開催された米国リウマチ学会年次学術集会ACR2009)で報告した。

 Barton氏らは、UCSFの患者コホートに登録された患者に対し、2006年10月から2009年9月までの診療録をもとにした後ろ向き研究を実施した。対象は、UCSFと提携している2カ所の外来医療施設を1年に2回以上受診し、ACR1987クライテリアに合致した成人(18歳以上)RA患者とした。

 診療録の調査を行ったRA患者は216例、平均年齢は59±14歳で88%が女性だった。人種構成は特徴的で、ラテン系39%、アジア系28%、アフリカ系9%で、白人は22%と少なく、67%は米国外の生まれだった。調査時点のRA罹患歴は6カ月未満が1%、6カ月以上2年以下が9%、2年超が90%。リウマトイド因子陽性が83%、環状シトルリン化ペプチド(CCP)陽性72%で、58%に骨びらんがあった。

 調査対象とした216例のうち、75例は評価(2008年6月以降の初来院)時点で、すでに生物学的製剤の投与を受けており、ほかに52例は低疾患活動性、22例は抗リウマチ薬DMARDs)治療抵抗性でなかったため、適応外とされた。この結果、67例が生物学的製剤による治療が適当と考えられた。

 しかし、このうち約3分の1に当たる20例は感染症などにより禁忌とされた。内訳は潜在性結核13例、他の感染3例、授乳中1例、肺疾患1例、その他2例だった。

 禁忌例を除く47例についても、ほぼ半数の24例には生物学的製剤の使用について、何らかの“障害”があった。半数(12例)はツベルクリン反応検査の実施状況が不明で、ほかに、経済的または健康保険上の問題が4例、患者の意向6例、その他2例だった。この47例中、評価のための来院から12カ月以内に生物学的製剤の投与を開始していたのは、16例に過ぎなかった。

 ACR2008リコメンデーションは、疾患活動性が高い場合には発症3カ月以内でも抗TNF阻害薬を推奨するなど、より積極的な薬物治療を勧告している。その半面、感染症や肝障害がある場合、添付文書よりも広範囲に禁忌条件を設けている。

 Barton氏らは、DMARDs治療抵抗性で中等度以上の疾患活動性があり、勧告上、生物学的製剤の使用が適切とされる症例でも、本勧告に従った場合、感染やツ反結果不明、経済事情など、さまざまな理由によって投与を開始できない場合があることを指摘、「現場とのギャップを把握し、さまざまな患者の状況に対応した勧告策定を目指すべきだ」とした。

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