2009/10/26

長期RA罹病者でもバイオフリー寛解を得られる可能性

RRR試験の中間解析から

宇田川 久美子=医学ライター

産業医科大学教授の田中良哉氏

 インフリキシマブIFX)治療によって半年以上の低疾患活動性が保たれている関節リウマチRA)患者なら、たとえ発症から10年を過ぎた長期罹病者でも、IFXを必要としないバイオフリー寛解を得られる――こんな可能性を示唆する日本発の研究成果が報告された。現在、わが国で進行中の多施設共同観察研究RRR(トリプルR)試験の中間解析結果で、同試験の責任者を務める産業医科大学教授の田中良哉氏が、米フィラデルフィアで開催された米国リウマチ学会年次学術集会ACR2009)で発表した。

 RRR試験は、IFX治療下で低疾患活動性(DAS28[ESR]<3.2)が24週間以上継続している患者に対し、患者の同意を得たうえでIFXを中止し、その後のDAS28と総Sharpスコア(TSS)の変化を2年間にわたって追跡する試験である。

 同試験には114例のRA患者が登録された。平均年齢は51.4±13.4歳、女性比率は76%だった。これらの患者は、ベースライン時にはほとんどが高疾患活動性であり、DAS28[ESR]は平均5.5±1.2であった。また、平均罹病期間は5.9±6.7年と長く、なかには10年を超える長期罹病者も含まれていた。これは、同じくIFXの寛解中止の可能性を検討したBeSt試験(平均罹病期間0.4年)と大きく異なる点だ。また、罹病期間の長期化に伴い、総Sharpスコア(TSS)も平均63.3±66.2と、関節破壊がかなり進行した状態にあった。

 今回の中間解析では、これら114例のうち、転院などにより脱落した12例を除く102例に対する1年間の追跡の成績がまとめられた。その結果、46 例(45%)の患者でDAS28の再上昇(≧3.2)が認められたが、残る56例(55%)では1年後も低疾患活動性が維持されていた。さらに、44例(43%)の患者は、DAS28が2.6を切る臨床的寛解状態にあった。

 IFXの中止後、低疾患活動性の維持に成功した患者群と失敗した患者群の背景因子を比較すると、前者では後者より年齢が若く(49.5±12.6歳 vs 56.1±12.2歳、P<0.01)、罹病期間が短く(4.8±5.9年 vs 7.8±7.7年、P<0.05)、ベースライン時の関節破壊が軽度(TSS 46.9±46.5 vs 97.2±86.9、P<0.05)であるという違いがみられた。

 しかし、低疾患活動性の維持に成功した患者のなかには罹病期間が10年を超え、関節破壊も進行した状態にあった患者も含まれていたことから、「長期罹病者や進行したRA患者でもバイオフリー寛解を得られる可能性は十分に残されている」と田中氏は述べた。

 続いて、低疾患活動性の維持を規定する因子を同定するため、1年後のDAS28<3.2を従属変数とする多変量解析を行った。その結果、1年後の低疾患活動性を予測する有意な因子として、RRR試験エントリー時(IFX中止時)のDAS28スコアが同定された(P=0.0005)。両者の相関曲線を基に1年後の低疾患活動性維持率を予測すると、IFX中止時のDAS28が2.22ならば50%の確率で低疾患活動性が維持できると予測された。

 なお、低疾患活動性の維持に失敗した患者群では、IFXを中止した1年前に比べ、機能的寛解(HAQ≦0.5)にある患者の割合が90.0%から63.6%へ、構造的寛解(TSSの年間増加量<0.5)にある患者の割合が62.5%から43.8%へと低下していたが、低疾患活動性の維持に成功した患者群では、機能的寛解率(90.9%→82.8%)、構造的寛解率(57.5%→66.7%)のいずれにも目立った変化はみられなかった。すなわち、バイオフリーは臨床的寛解、機能的寛解、構造的寛解という3つの「寛解」のいずれも損なわないことが示唆された。

 早期RA患者にとどまらず、すべてのRA患者にバイオフリー寛解の可能性が示された今回のRRR試験の中間解析結果は、投薬の煩わしさから解放される患者にとって朗報であることはもちろん、医療経済的な側面からも歓迎すべき研究成果といえそうだ。

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