関節リウマチ(RA)患者に対して生物学的製剤を投与する場合、MTXとの併用が標準的な治療法とされる。しかし、実際の診療現場では、MTXを服用しない、あるいは服用できない患者がかなりの比率で存在し、生物学的製剤を単剤投与せざるを得ない場合がある。英Leeds大学のPaul Emery氏らは、近年報告された論文と学会発表の抄録を基に、生物製剤の単剤療法の実情を示し、エビデンス蓄積の必要性を訴えた。詳細は、Annals of Rheumatic Disease誌2013年12月号に掲載された。

 RA治療で最初に用いる第1選択の薬物治療としては、MTXの単剤投与またはMTX+他の抗リウマチ薬(DMARDs)が推奨されている。この治療に十分に反応しない患者には通常、MTXと生物学的製剤のTNF阻害薬を併用する。

 しかし、日常診療で収集されたデータに基づく報告によると、米国では生物学的製剤を使用している患者の3割が単剤投与を受けている。また、生物学的製剤と共にMTXを処方された患者の6割がMTXを購入しておらず、単剤での使用が承認されていない生物学的製剤でも、単剤で用いられている場合があることが分かった。

 著者らは、こうした状況について解析するため、今回のレビューを実施した。2005〜2012年に論文誌に掲載された論文と2009〜2012年に開催された欧州リウマチ学会と米国リウマチ学会の抄録を対象に、生物学的製剤または経口ヤヌスキナーゼ阻害薬のトファシチニブを患者が単剤で使用する理由と、単剤投与を支持するエビデンスを探った。

生物製剤を単剤投与するための3つの条件とは?

 日本ではインフリキシマブ以外の生物学的製剤とトファシチニブはRA患者に対する単剤投与が認められている。

 生物学的製剤を単剤で使用する場合、(1)単剤で偽薬に優る有効性がある、(2)単剤使用をMTX/DMARDsのみ、あるいはMTX+生物学的製剤の併用と比べた場合、臨床症状の軽減と骨破壊の進行抑制効果が同等以上、(3)単剤で用いた場合の安全性と忍容性が許容できる、の各条件を満たす必要がある。

 TNF阻害薬については、単剤治療に比べ、MTXとの併用で治療効果が高まるとする報告が多い。ただし、TNF阻害薬を使用している患者がMTXを中止した場合の有効性や奏効期間については、薬剤や試験によって様々な結果が示されており、明確な結論は出ていない。

 MTX併用による効果増強は、MTXがTNF阻害薬とは無関係に炎症と関節破壊を抑制することや、MTXがTNF阻害薬の生体内利用率を高めるためである可能性が示唆されている。

 TNF阻害薬では投与後、抗薬剤抗体が誘導されることがあり、この抗体が現れると薬剤の血中濃度が下がってしまう。しかしMTXを併用すると免疫寛容が誘導され、濃度が上昇することが示唆されている。

 また、特にインフリキシマブでは、抗核抗体などの自己抗体が発現することがあり、その増加が治療に対する反応の低下と相関すると報告されているが、MTXなどの免疫抑制薬は、こうした自己抗体産生リスクも低減する可能性がある。

 一方、非TNF阻害薬の生物学的製剤では、今のところトシリズマブを除き、単剤投与に関する十分な検討は行われていない。