関節リウマチ(RA)の新たな疾患活動性指標として期待されるMBDAスコアが1年間の骨破壊進行を予測する有用なマーカーであることが示唆された。オランダ・Leiden University Medical Centerの早期関節炎コホート(EAC)の登録患者を対象とした検討の成果で、米国Crescendo bioscience社のWanying Li氏、オランダLeiden University Medical CenterのTom Huizinga氏らが、6月にマドリッドで開催された欧州リウマチ学会で報告した。

米国Crescendo bioscience社のWanying Li氏

 RAの疾患活動性の標準的な指標として用いられているDAS28やCDAI、SDAI、ACR/EULARのBoolean寛解基準などは、いずれも患者疼痛評価などの主観的な要素を組み込んでいる。

 これに対してMBDAスコアは、12種類の血清検査データのみから所定のアルゴリズムを用いて算出し、1〜100点の数値(数値が高いほど疾患活動性が高い)で表される。算出に用いる検査項目は、VCAM-1、EGF、VEGF-A、IL-6、TNF-RI、YKL-40、MMP-1、MMP-3、レプチン、レジスチン、SAA、CRPの12項目。既存のDAS-28、SDAI、HAQなどと有意な相関を示すことが明らかになっている。

 Li氏らは、早期関節炎コホートに登録された患者のうち、米国リウマチ学会(ACR)1987年RA疾患分類基準を満たした163人を対象とした。RA治療は主に非生物学的製剤の抗リウマチ薬で行われており、抗TNF薬の使用は5%未満だった。

 登録者の受診時にMBDAスコアと骨破壊の程度を示すsharp van der heijde score(SHS)を測定し、初回訪問時のMBDAスコアと1年間の骨破壊の進行(ΔSHS)の関連などを調べた。対象者の平均年齢は55歳、67%が女性、66%が抗CCP抗体陽性、1年後のSHSスコアの中央値は23だった。

 検討の結果、ΔSHSはベースラインのMBDAスコアが高いほど大きいこと。MBDAとSHSの関連は直線的ではなく、MBDAスコアが40〜60の間で最もΔSHSの増加が大きいことが示された。

 近年、抗リウマチ薬による治療を行っていても急速に骨破壊が進行する画像的急速増悪(Rapid Radiographic Progression)が注目されている。そこでLi氏らは、対象者をMBDAスコアで層別化し、各スコア群に、骨破壊進行群(ΔSHS>0)、臨床的骨破壊進行群(ΔSHS>3)、およびRRP群(ΔSHS>5)が含まれる比率を寛解群(MBDA≦25)における比率で除した相対リスクを求めた。

 その結果、ΔSHS>3の臨床的骨破壊進行群については、MBDAスコアが26〜29では相対リスクが2.2、30〜39では2.5、40〜44では2.7、45〜49では4.6、50〜59では6.2、60以上では7.2と、MBDAが高値であるほど急速に増加した。

 さらにΔSHS>5のRRP群については、26〜29では相対リスクが0.0、30〜39では2.8、40〜44では4.0、45〜49では12.3、50〜59では11.7、60以上では18.1と、より増加度が大きかった。

 これらの結果からLi氏は、「抗リウマチ薬で治療中のRA患者では、MBDAスコア高値、特に40〜60の範囲のスコア増加は、骨破壊進行リスクの増大と関連する。またΔSHSが5を超えるRRP患者では、7割はMBDAスコアが50以上だった」と述べた。