関節リウマチ(RA)の発症には遺伝的要因だけでなく、喫煙や感染症などの生活習慣や環境要因も関与していると考えられている。大阪大学呼吸器免疫アレルギー内科の前田悠一氏らは、RA患者では腸内細菌叢が健常人とは異なり、乳酸菌などの通性嫌気性菌が多いこと、生物学的製剤の投与により腸内細菌叢が変化することを明らかにした。

大阪大学呼吸器免疫アレルギー内科の前田悠一氏

 前田氏らは、2011〜2012年にRA患者(RA群)55例と健常ボランティア(対照群)77例から採取した糞便中の細菌叢を定量的RT-PCR法により測定した。

 RA群と対照群の年齢はそれぞれ57.8歳、36.3歳、女性比率は72.7%、90.9%、体重は54.5kg、57.0kgで、RA群のDAS28-ESRは4.8、DAS28-CRPは4.1だった。

 測定の結果、Clostoridium属、Bacteroides属などの偏性嫌気性菌の細菌数にはRA群と対照群で違いを認めなかった。しかし、通性嫌気性菌の細菌数には違いがあり、RA群では対照群に比べて、全Lactobacillus属(P<0.01)、Enterobacteriaceae(P<0.05)、Enterococcus属(P<0.01)の細菌数が有意に多く、Lactobacillus属の中でL. gasseri亜属、L. reuteri亜属、L. fermentumの細菌数が有意に多かった(いずれもP<0.01)。

 また、RA群の中でもDAS28-CRP高値(>4)群では低値(<4)群に比べて、Prevotella属の細菌数が有意に多く、Bifidobacterium属の細菌数は有意に少なかった(いずれもP<0.05)。

 RA群の55例のうち25例は生物学的製剤(TNF阻害薬13例、抗IL-6受容体抗体薬10例、抗CTLA-4抗体薬2例)による治療を受け、DAS28-CRPは4.1から2.5に低下し、6カ月後には48%が寛解を達成した。

 生物学的製剤による治療後に腸内細菌叢を再度調べたところ、偏性嫌気性細菌の全細菌数が有意に減少し(P<0.01)、中でもClostridium.coccoides属(P<0.01)、Bifidobacterium属(P=0.03)の細菌数が有意に減少した。一方、通性嫌気性菌では、L. gasseri亜属(P<0.01)、L. plantarum亜属(P=0.02)の細菌数が有意に減少した。

 以上の検討から前田氏は、「RA患者の腸内細菌叢は健康ボランティアとは異なること、生物学的製剤の使用によってRA患者の腸内細菌のいくつかは細菌数が減少することが示された」とまとめた。

 さらに、通常は「善玉菌」とされる乳酸菌がRA患者で増えていることについて同氏は、「マウスでは自己免疫疾患を起こす乳酸菌も報告されており、ヒトでも病態に関与している可能性は否定できない。逆に病原体などから身を守るために特有の細菌叢を備えたと考えることもできる」と推察。「今後は、プロバイオティクスによる介入を行い、RAの疾患活動性の改善と腸内細菌叢の是正ができるかどうか評価していきたい」と述べた。