抗IL-6受容体抗体製剤のトシリズマブ(TCZ)導入1年後に寛解を達成した関節リウマチ(RA)患者の約70%で3年後も寛解が維持され、また、1カ月後に早期治療反応性が見られた場合、有意に多く寛解を達成し得ることを示された。実臨床で生物学的製剤を投与したRA患者の臨床的寛解率を検討した福岡RA生物学的製剤治療研究会(FRAB-registry)による多施設研究の成果で、九州大学整形外科の中島康晴氏らが、京都で開催された第57回日本リウマチ学会で発表した。

 対象はTCZを投与し、1年以上経過が観察できたRA患者172例(女性150例)とした。患者背景は、52.6歳、罹病期間は9.8年だった。

 TCZ投与前の生物学的製剤使用率は65%で、そのうちエタネルセプトが41%、インフリキシマブが38%、アダリムマブが5%で、2剤以上併用が16%だった。メトトレキサート併用率は61.6%(平均投与量6.5mg)、ステロイド併用率は66.7%(同5.1mg)だった。

 疾患活動性を示すDAS28-ESRは、TCZ投与前(ベースライン)の平均は5.18だったが、3年経過時には平均2.42へと有意な改善が見られた(P<0.01)。

 ACR/EULARのBoolean基準による寛解達成率は、33.3%(1年後)、34.5%(2年後)、33.3%(3年後)だった。DAS28-ESRによる寛解達成率は66.0%(1年後)、75.0%(2年後)、66.7%(3年後)だった。3年後のNRI(無効例データ補完)判定による寛解達成率は、Boolean基準で22.9%、DAS28-ESRでは44.7%となった。

 1年後のBoolean基準による寛解達成について、単変量解析で有意だった関連因子を用いて多変量解析を行ったところ、「生物学的製剤投与の有無」(オッズ比4.91、P<0.01)、「1カ月後にEULAR基準のgood response(早期治療反応性)」(オッズ比3.80、P<0.01)の2つが寄与因子となった。

 そこで、生物学的製剤未使用群とTNF阻害薬投与群とでBoolean基準の寛解達成率を比較したところ、1年後は58.2%と18.0%、2年後は53.9%と25.9%、3年後は50.0%と29.8%になり、3年後を除く全期間で、両群間に有意差が認められた(P<0.01)。

 また、早期治療反応性の有無別では、1年後は62.2%と20.2%、2年後は54.6%と27.4%、3年後は58.3%と26.7%となり、全期間で有意差が認められた(P<0.01)。

 投与開始からのTCZ継続率は、82.5%(1年後)、77.4%(2年後)、70.4%(3年後)。脱落した45例のうち、有害事象によるものが18例、効果不十分が10例、有効中止例が1例、その他が16例だった。

 1年後に寛解を達成していた23例のその後の経過を検討したところ、3年後も寛解を維持していたのは14例(61%)で、有害事象により脱落した3例を除くと、寛解維持率は70%となった。

 これらの結果から、実臨床において、TCZは3年継続率が約70%と高い継続率を保ち、寛解達成には、生物学的製剤未使用と早期治療反応性という2つの因子が有意に影響することが示された。