関節リウマチ(RA)治療のアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)は、間質性肺炎や骨髄抑制などの副作用に加え、服用間隔が煩雑でアドヒアランス上の問題が生じやすいといった問題点がある。しかし、トシリズマブ(TCZ)+MTX併用により寛解となっている関節リウマチ(RA)患者においてMTX投与を中止した場合、症例によって寛解維持に差が見られるため、MTX中止の判断は慎重に行うべきという結果が示された。埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の柴田明子氏が第57回日本リウマチ学会で発表した。

埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の柴田明子氏

 柴田氏らはこれまでに、MTX併用下でTCZ投与を開始したRA患者のうち、MTXを中止し、52週継続し得た患者群についてのレトロスペクティブな検討で、MTX中止52週後にもDAS28-ESRがわずかながら改善し、CDAI、SDAIも増悪は認められなかったことを報告している。

 そこで、本研究では、TCZ+MTX併用で寛解を達成しているRA患者で、MTXを中止し、TCZ単独で寛解を維持しうるかどうかについて、前向きに検討を行った。

 TCZ+MTX併用で寛解(DAS28-ESR<2.6またはSDAI≦3.3)したRA患者10例を、MTX中止群(TCZ単剤群、4例)とMTX継続群(TCZ+MTX併用群、6例)に無作為かつオープンに割り付け、24週目に有効性を評価した。MTX投与量は寛解時の用量のままとした。

 TCZ投与開始時の患者背景は、TCZ単剤群が60.3歳、TCZ+MTX併用群は56.1歳。男女比はそれぞれ1:3と1:5だった。RA罹病期間はTCZ単剤群が84.3カ月に対し、TCZ+MTX併用群は132.9カ月と長かったものの、有意差はなかった。

 TCZ単剤群の病期分類はステージIが2例、StageIII、IVがそれぞれ1例。TCZ+MTX併用群ではステージI、II、IVが2例ずつだった。MMP-3、CRP、機能障害指標(HAQ-DI)、疼痛関節数(TJC)、腫脹関節数(SJC)などに有意差は見られなかった。

 前治療については、生物学的製剤はTCZ単独群で1例が使用しているのみだった。MTXの平均投与量はTCZ単剤群7.3mg/週、TCZ+MTX併用群7.0mg/週、プレドニゾロン(PSL)はそれぞれ4.5mg/日と3.2mg/日だった。

 検討の結果、DAS28-ESRは、TCZ単剤群で試験開始時(ベースライン)の1.50(以下すべて平均値)から24週後には2.05に推移。平均として寛解は維持していたものの若干の上昇が見られ、24週後の寛解率は50%だった。一方、TCZ+MTX併用群ではベースラインでの1.35に対し24週後は1.19となり、一時的に悪化した例も見られたものの全例で寛解を維持していた。

 SDAIについては、TCZ単剤群は3.85から5.95へ上昇し、TCZ+MTX併用群でも、2.55から3.75へと軽度の上昇を認めた。

 HAQ-DIはTCZ単剤群では0.85から0.56へと低下傾向が見られ、ベースラインで寛解を得られていなかった2例のうち1例も寛解を獲得。24週後の寛解率は75%だった。一方、TCZ+MTX併用群では、1.02から1.00とほぼ変化は認められず、24週後の寛解例はなかった。

 MTX中止後も平均としては寛解が維持されていたものの、TCZ単剤群の個々の症例では、症状が悪化した例と寛解を維持した例が認められた。一方、TCZ+MTX併用群では寛解が維持されていたことから、柴田氏は、「MTX中止は慎重に行う必要がある」とした。

 同氏はさらに、「本検討では症例数が少なく、また24週目までの追跡に留めているので、今後とも安全性を含めた有用性の検討が必要」と締めくくった。