関節炎や骨破壊の進行により患者のADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を著しく低下させる関節リウマチ(RA)の治療では、生化学的な検査値の改善以上に患者の治療満足度への配慮も重要になる。埼玉医科大学リウマチ膠原病科の舟久保ゆう氏らは、患者評価のみに基づくRA臨床評価法であるRAPID3(Routine Assessment of Patient Index Data 3)を用いてトシリズマブ(TCZ)を投与したRA患者を評価し、疾患活動性の指標として有用であることを、京都で開催された第57回日本リウマチ学会で報告した。

埼玉医科大学リウマチ膠原病科の舟久保ゆう氏

 「TCZはIL-6を阻害してCRPやフィブリノーゲンの産生も抑制するため、治療開始早期からCRPは陰性化し、赤血球沈降速度(ESR)も低下する。そのため、CRPやESRを評価項目に含む米国リウマチ学会(ACR)コアセットやDAS28などの疾患活動性評価法は、真の治療効果を反映しない可能性がある」。舟久保氏は冒頭、TCZの臨床効果を検証する指標として今回RAPID3を用いた理由をこう語った。

 対象は、2010年5月から2011年9月までにTCZを新規導入した20歳以上のRA患者17例(女性11例)。平均年齢54歳、RA平均罹病期間12年。対象はいずれもACRの1987年RA分類基準を満たし、病期分類のステージI/II/III/IVは2/5/2/8例、機能分類のクラスI/II/III/IVは2/9/5/1例だった。MTX併用例は11例(65%)で平均投与量は5mg/週、ステロイド併用例は14例(82%)で平均投与量は5mg/日(プレドニゾロン換算)。13例(76%)が生物学的製剤使用歴を有していた。

 TCZ投与開始前の疼痛関節数(TJC)は7、腫脹関節数(SJC)は5、DAS28-ESR4 は5.5、VASによる患者疼痛評価は42mm、患者全般評価(PtGH)は47mm、医師による全般評価(EGH)は41mmだった。

 TCZ投与52週時のTJC、SJC、Pain GH、PtGH、EGHはいずれもベースラインに対して有意に低下していた。ESRとCRPも52週時に有意な低下を示し、CRPは12週以降、陰性化していた。

 DAS28-ESR4、SDAI、CDAI、RAPID3も、52週時には有意な低下を示した。HAQは52週時に低下傾向を示したが、ベースラインとの比較では有意差は認めなかった。

 24週時の寛解達成率は、DAS28-ESRで29.4%、SDAIで23.5%、CDAIで23.5%、ACR/EULARによるBoolean寛解基準で23.5%、RAPID3(3.0以下)で23.5%、HAQで29.4%となり、各評価法の間で有意差はなかった。

 一方、52週時では、DAS28-ESRは 52.9%となり、SDAI 23.5%、CDAI 17.6%、Boolean 17.6%、RAPID3 29.4%、HAQ 35.3%に比べて高い寛解達成率を示した。

 一方、RAPID3の52週時の寛解達成率は、他のいずれの臨床評価法に対しても有意差を認めなかった。他の評価法との相関係数は、painGH(0.89)、PtGH(0.94)、DAS28-ESR4(0.69)、CDAI(0.73)、SDAI(0.69)、HAQ(0.84)であり、いずれも有意だった。なお、CRPはいずれの臨床評価法とも相関を示さず、ESRは算定項目に入っているDAS28-ESR4以外の臨床評価法とは相関を示さなかった。

 以上の結果から、舟久保氏は「TCZ投与RA患者では、血液検査結果がなくても患者の自己評価に基づくRAPID3により、疾患活動性の評価が可能と考えられる」と総括した。