全員が点滴を希望したら円滑な診療は困難だ
 順天堂医院で生物学的製剤の投与を受けている関節リウマチ患者さんは約450人です。内訳は、インフリキシマブ150例、エタネルセプト143例、アダリムマブ64例、トシリズマブ36例、アバタセプト24例、ゴリムマブ36例です。点滴と皮下注がほぼ半々になっているということです。

 当院には外来化学療法室があって、関節リウマチ患者さんに対する生物学的製剤の点滴に利用できますが、やはりベッド数には限りがあります。仮に患者さん全員が点滴製剤での治療を希望したら、すべての患者さんの診療を円滑に行うのは困難です。

 当院のような大都市の大学病院でもこのような状況ですから、地域で多数の関節リウマチ患者さんを診療している診療所にとっては、皮下注製剤は不可欠だと思います。

 点滴投与を選ぶ人は注射を自分で打つことに抵抗感があり、病院で打ってもらうことに安心感を抱いているようです。米国では、若年者ほど皮下注製剤を選ぶ人が多いとされています。逆に高齢者は、自分で注射を打つことに抵抗が強いわけです。

 皮下注製剤の課題の1つは、打つときに痛みが出る場合があることです。製剤によっては、製造法の改良で刺激を減らしたり、針を細くして皮膚を刺すときの痛みを減らすといった改善を行っていますので、しだいに受け入れられやすくなると思います。

 当院のように外来患者数が1日4000人に達する医療機関では、来院して点滴を受けると、半日近くかかってしまいます。そのため、利便性の点からも患者さんに皮下注を勧めています。

 一方、医療機関にとっても点滴治療は負担だと思います。生物学的製剤の点滴は、針を刺して終了まで放置するわけにはいきません。流量の調節や患者さんの状態の確認など、医師や十分な知識を持った看護師が監視する必要があります。こうした医療資源上の制約からも、皮下注製剤への切り替えが求められている面があると思います。