生物学的製剤の投与法は製剤によって点滴静注と皮下注射があり、皮下注製剤の多くは患者による自己注射が可能になっている。患者の属性と医療への期待、医療者の負担、医療経済的側面などから投与法の利点と課題について、順天堂大学附属順天堂医院 院長で膠原病・リウマチ内科教授の高崎芳成氏に聞いた。(聞き手:中沢 真也=日経メディカル別冊)

 現在、関節リウマチ薬として保険承認されている生物学的製剤は7剤あります。TNF-α阻害薬は、登場順にインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ・ペゴルの5種類。TNF-α阻害薬以外には、IL-6受容体抗体薬のトシリズマブと、抗原提示細胞のCD80、CD86に特異的に結合して、T細胞の活性化を抑制するアバタセプトがあります。

 投与法で分類すると、TNF-α阻害薬のインフリキシマブとT細胞活性化抑制薬のアバタセプトが点滴静注、インフリキシマブ以外のTNF-α阻害薬であるエタネルセプト、アダリムマブ、ゴリムマブセルトリズマブ・ペゴルは皮下注製剤です。

 IL-6受容体阻害薬のトシリズマブは点滴製剤に加え、皮下注製剤が承認済みで近く投与可能になると思われます。また、点滴投与の生物学的製剤のうちアバタセプトも、近く皮下注製剤が承認される見通しです。もともと点滴製剤として開発された薬剤に皮下注製剤が加わるのは、患者さんのニーズがあるからでしょう。自己注射が可能な皮下注製剤の普及は、ひとつのあるべき方向だと思います。

 関節リウマチ治療において、メトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ薬を上限まで増量しても十分な改善が得られない場合、生物学的製剤の使用を考えます。その際、どの生物学的製剤から使うという規定はありません。ただし、歴史的にインフリキシマブやエタネルセプトから導入が進んだので、リウマチ臨床医はTNF-α阻害薬から使い始めようとするのが一般的でした。

 現在では、どの生物学的製剤から使い始めても効果的に治療ができると考えてよいでしょう。その中で、薬剤を使い分ける判断基準の1つになるのが投与法です。そのため、患者さんに生物学的製剤を勧める場合、投与法の違いを説明した上で、どの薬を使いたいかを聞くことにしています。

 もう1つ、どの生物学的製剤から開始するかを決める要素になるのが、メトトレキサート(MTX)を使えるかどうかです。MTXで副作用がある場合や妊娠を希望している患者さんの場合、MTXの併用はできません。一般にTNF-α阻害薬はMTXと併用したときに最大の効果を引き出せるとされています。

 これに対し、トシリズマブはMTX非併用でも併用と同等の有効性を発揮するとされています。MTXを使えない場合にはこの薬剤をよく用います。また、アバタセプトは感染症を誘導する副作用が他の生物学的製剤に比べて少ない印象です。高齢で副作用、特に感染症発症が問題になる患者さんにはこの薬剤を使うという判断もあります。