医師と看護師の分業により医学面と経済面で「生物学的製剤必要度」をチェック
 最近、気がかりなのは、経済的な事情のために生物学的製剤を使えない人が少なくないことです。特に、関節破壊がほとんど生じていない早期や超早期の患者さんは身体障害者手帳を持っていないので、3割負担の健康保険なら毎月4万円前後の薬剤費が自己負担になります。早く使えば障害を起こさずに済むのに、障害が生じてからでないと医療費の減免を受けられないというのはおかしな話です。

 こうした現状の中で、生物学的製剤導入の可否を決定するためには、医学的な見地からの必要性の評価と同時に、経済状態や社会的背景に配慮したうえで、患者さんの意向を聞かなければなりません。

 また、現在7種類ある生物学的製剤から最適な薬剤を選ぶには、薬価の違いと併せ、患者さんがどのくらいの頻度で受診できるか、自己注射(皮下注)が可能かといった点の確認も必要です。そのためには患者さんとの十分なコミュニケーションが必要で、医師1人では到底こなせるものではありません。

 そこで当院では、「生物学的製剤必要度シート」を作成し、医学的な評価は医師が、経済的な背景などの評価は看護師が分担しています。これにより医師は医学的な判断に集中することができます。

 なお当院では、遺伝子解析によって、生物学的製剤に対する個々の患者の治療応答性を予測する検査を実施しています。この検査方法については、松原メイフラワー病院(兵庫)院長の松原司先生が中心になり、当院も参加して進められているSARABAスタディにより、9割以上の確率で治療応答性が予測できることが明らかにされています。検査費用が高額なため、実臨床に普及するにはまだ時間がかかりそうですが、技術的には可能な段階です。