地域の実地医家が限られた設備やマンパワーで適切な関節リウマチ(RA)診療を行うためには、高次医療施設や他の診療科との連携が不可欠となる。また、生物学的製剤の導入は、医学的な見地だけでなく、患者の経済状態や生活環境なども勘案して決める必要があり、患者との密接なコミュニケーションやスタッフとの協力が欠かせない。今回は、わが国を代表する実地RA医である佐川昭リウマチクリニック(札幌市)院長の佐川昭氏に、生物学的製剤時代における最前線のリウマチ医の役割と診療のあり方について聞いた。(聞き手:中沢 真也=日経メディカル別冊)

 関節痛などがあって、関節リウマチの疑いでクリニックを受診する患者さんは、大病院を受診する前に来院するため、早期あるいは超早期の方が多く、しかも関節リウマチ以外の患者さんも混在しています。リウマチクリニックの役割は、早期・超早期の関節リウマチを見逃さずに診断し、適切な治療を開始することです。

 早期関節リウマチの診断では、活動性の滑膜炎を見逃さないことが大切です。そのため当院では、MRIや関節エコーなど、炎症の検出精度に優れた画像診断を積極的に活用しています。また、地域の基幹病院と提携して、随時MRI検査を実施し、画像を当院の端末で直接見ることができる画像連携体制をとっています。

 早期に関節リウマチの診断がつけば、まず、メトトレキサート(MTX)を中心とした抗リウマチ薬治療を開始します。

図1 生物学的製剤導入の条件と手順(佐川氏の資料を基に作成:用語などを一部改変)

 当院では、生物学的製剤の投与開始がふさわしいとみなす条件として、(1)抗リウマチ薬を使用して6カ月以上経っても疾患活動性の改善が得られない、(2)関節に疼痛や熱感、腫脹などがある、(3)関節エコーでGrade 2以上のパワードプラ信号が持続、(4)X線で関節破壊の進行が認められる、(5)血清炎症指標(ESRやCRP)の高値が持続している、などの基準を設けています(図1)