直接医療費と疾患や障害との関連を調べたところ、疾患活動性を示すDAS28や機能障害を表すJ-HAQが高いほど、また、QOLの指標であるEQ-5Dが低いほど(いずれも悪化を示す)、直接医療費も高額になることが分かりました(図2)。直接非医療費でも同じ傾向です。すなわち、患者さんを良い状態に保つことができれば、将来的には医療費削減につながる可能性があることを示した結果といえます。

 一方、良い状態を維持するには、より高額の医療費がかかるという事実もあります。そのため、生物学的製剤などの高額な薬剤の医療経済学的な有用性は、長期の費用対効果を調べないと証明できないわけです。

図2 疾患活動性、機能障害、QOLが悪化するほど直接医療費は増加する

リウマチのせいで仕事や家事ができない影響は年5000億円超
 関節リウマチのために仕事や家事などの労働ができないことによる損失を示す間接費用も重要です。関節リウマチが悪化して離職を余儀なくされ、身体障害者になったり介護保険を利用することになれば、国はその患者さんに対して費用を支出し続けることになります。しかし、発症しても症状が悪化せず、働き続けることができれば、逆にその患者さんから税金を得ることができます。費用対効果の検討では、間接費用を含めた検討が必要であると考えています。

 2008年のIORRAのデータをもとにした、関節リウマチ患者さんにおける就労状況に関する検討では、就業者の約3分の2は、関節リウマチ発症後も発症前と変わらず仕事を続けていましたが、約3分の1は、発症後、勤務時間を減らしたり、転職、離職していました。

 一方、全体の約4割の患者さんは家事・手伝いに従事しており、その中で、家事を減らした、または家事ができない日があったという回答が約6割を占めました。家事も職業として考えれば、かなりの経済損失になります。

 これらの労働損失を費用として計算を行うと、関節リウマチ患者1人当たりの間接費用は1年間に約75万円になりました。日本の関節リウマチ人口は約70万人ですから、間接費用の総額は年5000億円超になります。この間接費用についても、QOLが悪化するほど高額となることが分かっています。