西アフリカのマリで、2例目となるエボラウイルス疾患(エボラ出血熱、EVD)の患者が確認された。患者はマリの首都Bamakoにある診療所で働いていた看護師で、11月11日夜に死亡した。この患者の感染確認を機に、ギニアからマリに治療にやってきていた聖職者の存在が浮上。聖職者は既に死亡し、エボラ出血熱とは疑われないままに治療が行われ、葬儀や埋葬もエボラを意識しないで執り行われていたことが判明した。マリおよびギニアでは、接触者の追跡調査に追われている。

 マリでは、10月24日にギニアから旅行にきていた2歳の女児がエボラ出血熱のため死亡している。この第1例と今回の看護師の事例は、無関係であることが分かっている。

 看護師の感染経路を調査したところ、ギニアから治療のためにやってきた聖職者の看護にあたっていたことが明らかになった。聖職者は10月27日に死亡。現時点では、エボラ出血熱の可能性が疑われている。

 WHOなどの予備調査によると、この聖職者は70歳男性で、ギニアのSiguiri(Kourémalé村)在住だった。10月17日に発症(診断名は不明)し、翌18日にSiguiriの民間医療施設に入院した。民間医療施設のある町は、8月上旬から中旬までエボラ出血熱が猛威を振るっていたという。

 聖職者は症状が改善しなかったことから、マリの医療施設に移動。10月25日には、家族4人と一緒に、車でBamakoのパスツールクリニック(民間診療所)に治療にやってきた。

 パスツールクリニックでは、腎不全のための治療を受けたが、10月27日に死亡した。聖職者は、エボラ出血熱の後期に見られる急性腎不全の症状を呈していたものの、エボラ出血熱の検査が行われていなかった。

 また、入院中に訪れた友人が突然死亡したことも判明。検査は行われていないが、現時点で、この友人もエボラ出血熱の可能性例と考えられている。

 問題は、看護師がエボラ出血熱に感染していることが分かった段階で、聖職者は既に死亡しており、エボラ出血熱とは疑われないままに、葬儀から埋葬までが行われていたことだ。WHOなどは、多くの会葬者が葬儀などに参加したとみて調査を急いでいる。

 これまでの調査によると、聖職者の村では、彼の1番目の妻が11月6日に死亡(死因は不明)。兄と2番目の妻は現在、ギニアのエボラ治療センターで管理下に置かれている。この3人は全員、聖職者とともに車で移動していた。

 11月10日には、聖職者の娘が病気で死亡(エボラ出血熱未診断)。エボラ出血熱を想定した埋葬の申し出は、家族に断られたという。

 車で一緒に移動していた息子は、ギニアエボラ治療センターで管理下にあるが、11月11日にエボラ出血熱検査で陽性反応が出ている。

 こうした事態を受け、マリおよびギニアでは、WHOや米CDC、国境なき医師団などの支援の下、この聖職者の接触者の追跡調査が行われている。