菅官房長官(11月7日午後の記者会見から。出典:内閣官房内閣広報室)

 西アフリカのリベリアに滞在歴のある男性が発熱などを訴え、念のためエボラウイルス疾患(エボラ出血熱、EVD)の検査が行われている事例について、菅官房長官は7日午後の記者会見の中で、この男性が感染している可能性は低いという見方を示した。

 菅官房長官は、検疫で疑いがあった事例の場合、患者から検体を採取し、国立感染症研究所に搬送する段階で記者会見をする手筈であることを確認。その上で、「今回は、検疫で疑いがなかった事例」と指摘した。記者団の「感染している可能性は低いと見ているのか」との質問に対しは、「状況的には、そのような状況だと考えている」とし、この男性が感染している可能性は低いという見方を示した。

 国内でのエボラ出血熱感染の疑い例は、10月に公表された沖縄市の事例(EVD陰性、熱帯熱マラリアと診断)、10月末に検査のため国立国際医療研究センターに搬送された事例(EVD陰性)に次ぐ3例目となる。

 なお、11月7日夕方にギニアから関西空港に到着した20代女性が、入国後に発熱を訴えた事例があった。厚生労働省によると、迅速診断検査では熱帯熱マラリア陽性だったが、念のためエボラ出血熱の感染の有無を確認する目的で、検体が国立感染症研究所に搬送されている。本人からの報告によればエボラ出血熱患者との接触はないという。結果は、8日昼過ぎに判明する見込みだ。

 政府は10月24日までに、エボラ出血熱対策の具体的な強化策を発表している(表1)。その中で、流行国から帰国後1カ月で発熱した場合は、まず保健所に連絡し、その指示に従うように国民に呼び掛け、さらに「一般の医療機関の受診は避けてもらう」という方針が示されていた。

表1 エボラ出血熱対策の具体的な強化策(10月24日の閣議後記者会見で公表)

1 行政による対応強化
 * ギニア、リベリアおよびシエラレオネへの21日以内の滞在歴が把握された者については、1日2回健康状態を確認(10月21日から)。
 * 可能な限り、過去21日の流行国の滞在歴を確認することができるよう、検疫体制の一層の強化を行い、各空港における検疫所と入国管理局の連携を強化(10月24日から)。
2 医療機関による適切な対応
 * 指定医療機関を対象として、今月から全国で個人防護具の着脱研修を実施(全10回以上。全国研修会も11月10日の週に開催)。
 * 治療に当たる医師に対して助言を行うため、特定感染症指定医療機関の医師等や国立感染症研究所の専門家による会議(1類感染症の治療に関する専門家会議)を10月24日に第1回開催。
 * 発熱の症状のある患者が訪れた場合の対応として、一般の医療機関に以下を要請。
  ・ギニア、リベリアおよびシエラレオネの渡航歴を確認すること。
  ・渡航歴があれば、保健所に連絡すること。当該患者は指定医療機関に搬送されること。
3 国民の協力(10月24日厚生労働省ホームページで公表)
 * 感染経路(体液等への接触)を踏まえた冷静な対応を呼び掛け。
 * 流行国から帰国後1カ月で発熱した場合、保健所に連絡し、指示に従うよう呼び掛け。一般の医療機関の受診は避けてもらう。