患者から分離されたタミフル耐性H7N9型鳥インフルエンザウイルスの性状を検討した結果、ヒト気管気管支上皮細胞内での複製性、マウスに対する病原性、モルモットにおける伝搬性は、非耐性ウイルスと同様であることが示された。マウスにおける治療効果の検討では、リレンザで耐性ウイルスが有意に減少したことも分かった。米Mount Sinai医科大学のRong Hai氏らの研究成果で、論文が12月10日、Nature Communicationsの電子版に掲載された。

 研究者らは、ヒト感染例から分離された鳥インフルエンザH7N9ウイルスを使い、その性状を詳しく検討した。対象としたウイルス株は、Shanghai/1、Shanghai/2、Anhui/1の3つだった。このうち、Shanghai/1には、R292K耐性変異が確認された。

 まず、R292K耐性変異が確認されたShanghai/1株について、抗インフルエンザ薬に対する感受性を調べたところ、平均IC50(nM)は、タミフルが8620(95%信頼区間[95%CI]:6590-11300)、ラピアクタが191(95%CI:150-242)、リレンザが40.1(95%CI:30.1-53.4)だった。R292K耐性変異のないウイルスに対する感受性は、それぞれ1.87、0.339、3.75だった。非耐性ウイルスに対する耐性ウイルスのIC50比を見ると、タミフルでは4610倍の「重度耐性」、ラピアクタは563倍の「中等度耐性」、リレンザは11倍の「軽度耐性」という結果だった。

 ヒト気管気管支上皮細胞を使ったウイルス複製実験の結果、タミフル耐性ウイルスは非耐性ウイルスと同様の複製能を示した。培養温度を33℃と37℃の2通りで実施したが、結果は変わらなかった。

 また、マウスを使った病原性の検討、モルモットを使った伝搬性の検討のそれぞれにおいて、耐性ウイルスは非耐性ウイルスと同様の性状を持っていた。

 なお、マウスにおいては、リレンザとタミフルについて治療効果も検討している。その結果、リレンザでは耐性ウイルス、非耐性ウイルスのいずれでも有意なウイルス減少効果が確認された。一方、タミフルの方は、非耐性ウイルスに対しては有意なウイルス減少効果が確認されたが、耐性ウイルスに対しては有意なウイルス減少効果を確認できなかった。

 治療後に出現した薬剤耐性ウイルスについては、非耐性ウイルスに比べて感染性が劣ると言われてきた。今回の研究によって、H7N9型鳥インフルエンザウイルスの耐性ウイルスは感染性が劣っていないことが示されたわけで、H7N9型耐性ウイルスの流行を想定した治療方針の検討が必要となっている。

■参考文献
Influenza A(H7N9) virus gains neuraminidase inhibitor resistance without loss of in vivo virulence or transmissibility