Lancet誌オンライン版に掲載された論文

 中国の鳥インフルエンザA(H7N9)感染において、入院患者14人中2人の検体からタミフル耐性マーカーが確認された。Shanghai Public Health Clinical Center(SPHCC)のYunwen Hu氏らが、タミフルあるいはラピアクタによる治療を受けた入院患者を対象に調べたもの。Lancet誌のオンライン版で5月28日、発表された。ただし、マーカーが確認された症例は、発症から治療開始までがそれぞれ2日、6日と長くなっており、耐性マーカーが治療に及ぼす影響は不明だ。

 著者らは4月4日から20日にSPHCCに入院していた鳥インフルエンザA(H7N9)感染者14人を対象に、採取した検体をもとにウイルスの解析を行った。対象者はタミフルあるいはラピアクタの治療を受けていた。

 患者は、14人全員が肺炎を起こしており、7人は人工呼吸器による管理が必要だった。そのうち3人はさらに容体が悪く、ECMOによる管理下にあった。

 11人の患者においては、タミフルあるいはラピアクタの治療により、ウイルスの減少が確認された。残りの3人(2人が死亡、1人は入院中)については、治療後もウイルス量が減少せず、ECMOによる管理となっていた。

 患者の検体をもとにNA遺伝子を調べたところ、ECMO管理となった2人の検体からArg292Lysという耐性マーカーが見つかったという。Arg292Lysは、一般的にタミフルおよびリレンザの耐性マーカーとして知られている。

 ただし、この耐性マーカーが治療に影響したかどうかは不明だ。ECMO管理が必要だった3人は、74歳男性、88歳男性、56歳男性だった。このうち耐性マーカーが見つかったのは、88歳男性と56歳男性の症例。88歳男性は発症から治療開始まで6日間を要していた。一方の56歳男性は2日間だった。また、56歳男性の場合は、入院2日目の検体からは耐性マーカーが見つかっておらす、9日目の検体で初めて確認されている。56歳男性の例の治療内容は、入院2日〜10日はタミフル75mg2回/日、11日〜12日は150mg1回/日と75mg1回/日、13日〜15日は150mg2回/日、16日〜20日はラピアクタ0.6g1回/日となっていた。発症から2日目に治療が開始されているが、当初の入院2日〜10日は通常量での治療だったことになる。

 たとえ2例とはいえ、耐性マーカーが確認されたことは、ウイルスのサーベイランス上とても重要だ。同時に、治療開始までの時間および投与量などの見直しが急務であることも、今回の論文は強く示唆している。


■参考文献
Association between adverse clinical outcome in human disease caused by novel influenza A H7N9 virus and sustained viral shedding and emergence of antiviral resistance