父親と息子2人の家族内クラスタと思われるケースを報じた5月4日付Al hayat紙

 日本・中国ともに連休に入る前、鳥インフルエンザA(H7N9)の拡大が懸念されて旅行者に注意も呼びかけられた。が、ゴールデンウイークが終わりふり返ってみると、連休中にドキンとさせられたニュースは新型コロナウイルスNCoVに関するものだった。一挙に10例の感染者が報告されたばかりでなく、病院クラスタ疑いあり、家族内クラスタ疑いあり、わずか数時間の経過で犠牲になってしまった小児疑い例あり、と警戒が必要な事態となっている。

 5月1日夜になって突然、サウジアラビア政府がWHOに7例の感染者発生を報告した。しかし詳細な情報は伴わず、WHOのケイジ・フクダ氏はカナダ紙のインタビューに「WHO was informed of the cases late Wednesday, but has been given little information about them」と苛立ちを隠していない1)。この時点で5例が死亡、2例がICU入院中となっている2)

 5月3日になってサウジアラビア保健副大臣が個人メールアドレス(!)でProMEDに投稿、さらに3例のケースが新たに報告されるとともに、1日発表の7例について簡単な概略を報告している3)。その全てが基礎疾患をもち、(24歳男性例と33歳男性例をのぞき)ほとんどが50代以上の中高年だった。また、最初の7例はAl-Hasaa地区の同一病院Al-Mamlaka hospitalを受診・入院している。いずれもサウジアラビア以外に旅行歴はない4)。さらに3例確認され5)、本稿執筆の7日時点で感染者13例となっている6)

 発症は全世界が中国のH7N9にくぎ付けになっていた4月14日から末日にかけてだ。中国で毎日(その後週1回の頻度で)報告をされている間、サウジアラビアからは報告がなく、5月に入ってからWHOに発生事実の連絡があり、いくらかの詳細は「保健副大臣の個人メールアドレスでProMEDへ投稿」という、かなり異様な経緯をたどっている。

 国際社会への情報公開の信頼性が十分でない国では、地元の一般報道を解読していくほかない。5月4日付Al hayat紙は、父親と息子2人の家族内クラスタと思われるケースを、ICUベッドでモニター付けられ酸素投与を受ける兄弟の写真入り(!)で実名報道している7)。さらにこの記事では、発熱だけを主訴に救急部受診、病院到着時の全身状態良好から1時間後にはICU転送を余儀なくされ、2時間後には死に至ってしまった11歳児や、やはり救急受診後数時間で亡くなってしまった10歳児の超急速進行例が記載されている(この小児2例はWHOのHPには記載されていないから、WHOには報告されていない模様)。

 はたして、7例すべてが同一の病院というのは病院クラスタであるのか否か、父親が亡くなったのに続き息子2名がICU入院中なのは家族内クラスタであるのか否か、病院到着後数時間で亡くなってしまった小児2例はNCoV感染によるものか否か――。ヒト‐ヒト感染可能性も頭の片隅に置きながら、息をつめて“足りない情報公開”を見つめていくほかない。


■参考情報
(1)5 coronavirus deaths revealed in Saudi Arabia
(2)New coronavirus kills 5 Saudis: MoH
(3)Novel coronavirus - Eastern Mediterranean (17): Saudi Arabia
(4)Saudi victims of SARS-like virus didn't travel: doctor
(5)Coronavirus: 3 new Saudi cases from same area as recent outbreak
(6)Novel coronavirus infection - update
(7)http://alhayat.com/Details/509867(google翻訳;
«Corona» snatched Sheikh Mohamed Al Bin ... And two of his sons in 'intensive care'