A/H1N1pdm09感染は、2009/10年シーズンは秋に流行ピークがあったが2010/11シーズンは通常の季節性と同じ冬季に流行ピークが戻り、このシーズン後に季節性化したことが発表された。そして今回、この2シーズン目は最初のシーズンよりも症状が強くなっていた可能性が示された。A/H1N1pdm09の臨床症状を比較したところ、20歳未満において、2011年シーズンの最高体温は前シーズンより有意に高かったことが分かった。日本臨床内科医会が展開するインフルエンザ研究の成果で、8月にInfluenza and Other Respiratory Viruses誌のオンライン版に掲載された。

 2009/2010シーズンと2010/2011シーズンにおいて、A/H1N1pdm09の臨床症状を比較したところ、0〜9歳、10〜19歳の年齢層で、最高体温が有意に高くなっていた(図1)。20〜39歳、40歳以上ではともに上昇傾向にはあったが有意差はなかった。

図1 年齢層別に見た最高体温の変化

 またA/H1N1pdm09の感染例で、初回来院時の臨床症状の割合を比較したところ、咳(2009/10;82.7% vs. 2010/11;90.5%、以下同、P<0.05)、鼻水(49.6% vs. 59.8%、P<0.05)、筋肉痛(27.4% vs. 46.7%、P<0.001)、 食欲不振(23.3% vs. 49.2%、P<0.001)、疲労感(44.1 vs. 75.4%、P<0.001)は、それぞれ2010/2011シーズンで有意に多いという結果だった。

 2010/2011シーズンにおいては、A/H1N1pdm09とA/H3N2、B型についても臨床症状の比較をしている。その結果、15歳以下では、A/H1N1pdm09感染例の最高体温がA/H3N2あるいはB型の感染例よりも有意に高いことも分かった(最高体温は、A/H1N1pdm09が39.3±0.6℃、A/H3N2が39.0±0.7℃、B型が38.9±0.5℃。A/H1N1pdm09とA/H3N2ではP<0.01、A/H1N1pdm09とB型ではP<0.001)。

 なお、タミフルやリレンザのノイラミニダーゼ阻害薬(NAI)投与後の解熱時間は、A/H1N1pdm09では2010/11シーズンで2009/10シーズンよりも若干延長したものの有意ではなく、A/H3N2やBよりもむしろA/H1N1pdm09では有効性が高かったことも把握された。

河合内科医院(岐阜市)の河合直樹氏

 河合内科医院(岐阜市)の河合直樹氏は、今回得られた結果は、A/H1N1pdm09ウイルスが季節性化する過程で症状が増強した可能性を示唆している、と指摘。症状の増強の理由は不明であるが、流行時期(気温、湿度などの気象条件)の違いの他にA/H1N1pdm09ウイルスの性状の変化の可能性もあるという。ただこのA/H1N1pdm09亜型ではNAIの有効性が他の亜型よりも高い傾向にあり、今後とも注視すべきではあるが今のところ大きな問題はない、と話している。

■参考文献
Increased symptom severity but unchanged neuraminidase inhibitor effectiveness for
A(H1N1)pdm09 in the 2010?2011 season: comparison with the previous season and with seasonal A(H3N2) and B