図1 H1N1pdm09による死亡推計

 2009年に出現したインフルエンザH1N1pdm09ウイルスは、世界的な大流行を引き起こした。その死亡例は検査機関で最終確認されただけで1万8500人と報告されてきたが、実際はその15倍の28万人規模であったとする論文が発表された。米CDCのFatimah S Dawood氏らの研究成果で、6月26日付でLancet Infectious Diseases誌のオンライン版に掲載された。

 著者らは、H1N1pdm09感染に関連する呼吸器疾患の粗死亡率を、0〜17歳、18〜64歳、64歳以上の年齢層別に求めた。対象データは、12カ国におけるウイルス関連症状の累積発症率と高所得国である5カ国における症状ベースの致死率。各国におけるインフルエンザによる死亡リスクの違いを調整して、それぞれの国のH1N1pdm09の流行発生から1年間を対象期間とし、H1N1pdm09感染に関連する呼吸器関連死亡と心血管死亡の粗死亡率を推計した。

 その結果、H1N1pdm09感染に関連する呼吸器関連死は全世界で20万1200人(10万5700〜39万5600人)だったと推計された。また、H1N1pdm09感染に関連する心血管死は、8万3300人(4万6000〜17万9900人)となった。呼吸器関連死と心血管死の80%は65歳未満であり、51%は東南アジアとアフリカであることも明らかになった。

 著者らはH1N1pdm09ウイルス感染による死亡は、検査機関で確認された件数の15倍だったと結論。死亡例の半数以上が東南アジアとアフリカであった点を重視、将来のパンデミックに備え、こうした国々での予防策の充実が欠かせないと指摘した。

■参考論文
Estimated global mortality associated with the first 12 months of 2009 pandemic influenza A H1N1 virus circulation: a modelling study