2010/11シーズンにおいて、インフルエンザ感染に伴い呼吸障害を呈した小児症例は、前シーズンの6分の1に減少していたことが示された。神奈川県における小児のインフルエンザ呼吸障害例を解析している横浜南共済病院内村暢氏らが明らかにしたもので、成果は4月に長崎で開催された日本感染症学会で報告した。

 演者らは、2009/10シーズンにおいて、神奈川県で発生した小児のインフルエンザH1N12009呼吸障害例を集約し、その臨床像を解析した。その結果、(1)発症年齢が5〜12歳と学童に好発した、(2)経過が早く発症早期に人工呼吸器による管理を必要とした、(3)無気肺を呈する症例がほとんどであった、(4)予後は死亡2例で、入院期間は平均13.3日間だった、ことを報告している(Uchiyama T, et al.JIC 2011)。

 今回は、2010/11シーズンの小児のインフルエンザ呼吸障害例の臨床像について検討し、前シーズンとの比較も行った。

 対象は2010年8月1日から2011年3月31日までの期間に、神奈川県内で報告されたインフルエンザウイルス感染症によって呼吸障害を呈した症例とした。インフルエンザの診断は、鼻腔拭い液でのインフルエンザ簡易キットによる陽性例、もしくはPCR陽性例とした。診療データは神奈川県内の2次、3次医療機関47施設を対象に行ったアンケート結果をレトロスペクティブに解析した。

 その結果、2010/11シーズンの小児のインフルエンザ呼吸障害例は5例と、前シーズンの6分の1に過ぎなかった。インフルエンザウイルスのタイプ別では、A型4例、B型1例だった。年齢は8カ月から7歳(中央値2歳)、4例はインフルエンザワクチンを接種していた。

 発症から抗インフルエンザ薬の投与までの期間は、6〜144時間(中央値12時間)で、抗インフルエンザ薬は、タミフルが1例、ラピアクタが4例だった。

 胸部レントゲン所見では、無気肺が4例(すべてA型)、間質影増強が1例(B型)だった。なお、血液培養は全例で陰性だった。

 経過をみると、入院期間は3〜9日間(中央値7日間)で、痙攣群発後の意識障害を呈した症例が1例あったが、全例で軽快していた。

 これらの結果から演者らは、前シーズンに比べて呼吸障害例が少なかった点については、前シーズンの流行による免疫の獲得あるいはワクチン接種により重症化が抑止されたものと推察した。

 また、4例で点滴の抗インフルエンザ薬であるラピアクタの投与により、良好な予後が得られていたことから、経口摂取が困難となった呼吸障害例への治療に有用と考えられるとまとめた。