厚生労働省は2月14日付けで、各都道府県に対し、抗インフルエンザウイルス薬使用後の異常行動に関する注意喚起の徹底を通達した。インフルエンザ流行が続く中、イナビルを使用した10代の患者の転落死が報告されたための措置。厚労省は、抗インフルエンザ薬使用後少なくとも2日間は小児・未成年者を1人にしないよう呼び掛けている。

 抗インフルエンザウイルス薬使用後の異常行動の発現について厚労省は、2011年11月22日付けで関係方面へ通達を出すなど、添付文書の「重要な基本的注意」(表1)について、継続して医療関係者への注意喚起の徹底を図るよう求めてきた。今回報告された転落死の事例については、転落までの詳しい状況が明らかになっておらず、異常行動が発現したのかどうかも不明だという。ただし、今後も抗インフルエンザ薬の処方が増えることが予想されることから、改めて注意を喚起したものだ。

表1 添付文書の「重要な基本的注意」

 因果関係は不明であるものの、本剤を含む抗インフルエンザウイルス薬投薬後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、1)異常行動の発現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状があらわれるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

 「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究」(研究代表;国立感染症研究所・岡部信彦感染症情報センター長)の2010/2011シーズン報告によると、昨シーズンは、タミフルやリレンザ、イナビル服用後の異常行動が認められた一方で、抗インフルエンザ薬を服用していない人にも異常行動が確認されていた。

 「突然の走り出し・飛び降り」の事例(28件)について分析した結果では、「全ての薬の服用なし」が5件、「タミフルのみ」が3件、「イナビルのみ」が2件、「リレンザのみ」が1件、「不明」が16件などとなっていた。これらのデータから研究班は、「これまで同様に、異常行動は、抗ウイルス薬の種類と特定の関係に限られるものではないと考えられた」とまとめている。その上で、(1)抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関する注意喚起を行うこと、(2)インフルエンザ罹患者における異常行動の収集・評価を継続して行うこと、の対応が必要と結論していた。

■参考情報
抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について(2012年2月14日)
インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究(2010/2011シーズン報告)
抗インフルエンザウイルス薬の使用上の注意に関する注意喚起の徹底について(2011年11月22日)