WHOがまとめている鳥インフルエンザH5N1ウイルスのヒト感染例によると、1月11日現在、2011年の確定患者数は61件で、前年の48件から増加に転じた(図1)。国別では、エジプトが38件と6割を占めていた。

図1 鳥インフルエンザH5N1ウイルスのヒト感染例(全体とエジプト、インドネシアの推移)

 確定患者数は2006年に115件となり、WHOが統計を取りまとめ始めた2003年以降で最多を記録した。その後は、2007年に88件と減少、さらに2008年には44件と半減した。しかし、2009年に73件と再び増加。2010年には48件と減少したものの、2011年は再度増加した。

 最近の特徴の1つは、エジプトからの報告が目立つことで、2009年からの3年間は39件、29件、38件と推移し、各年とも全体の過半を超えていた。一方、患者数が多いにもかかわらず死亡例が少なかったエジプトで、2010年、2011年と死亡件数が増えていることも特徴だ。同国の累積致死率は、2008年に30%にまで低下したが、その後は33.6%、35.0%と上昇している。なお、全体の累積致死率は、これまで60%前後で推移してきたが、最近は50%台に低下している。

 もう1つの特徴は、患者の発生国がエジプト、インドネシア、バングラディッシュ、カンボジア、中国と5カ国に絞られている点だ。特に合計が3番目に多いベトナムは、2011年はついに0件となった。ベトナムについては、患者発生の抑制に効果的だった対策は何だったのかを探り、他の国の対策に生かすよう働きかけるべきだろう。

図2 鳥インフルエンザH5N1ウイルスのヒト感染例の死亡数(全体とエジプト、インドネシアの推移)