ECDC欧州疾病予防管理センター)は11月29日、最近北米で、ヒト‐ヒト感染が疑われるブタ由来インフルエンザA(H3N2)ウイルスのヒト感染例が確認されたことを受けて勧告を発表した。これまでの情報を検討し、「欧州においては、このウイルスが人の健康に及ぼす喫緊かつ直接的な危険性は低い」としつつも、今後ともサーベイランスなどを充実させ、警戒を怠るべきではないとした。

 勧告は現時点での見解としてまとめられたもの。それによると、まず11月に北米で確認されたブタ由来3重再集合インフルエンザA(H3N2)ウイルス感染は、限局的なヒト‐ヒト感染を起こした可能性が高いと指摘した。同時に、このウイルスは北米のブタで見つかることが報告されているが、これまでに欧州のブタからは見つかっていないとしている。

 しかし、ブタでのインフルエンザサーベイランスは北米やヨーロッパでは不十分との認識も示し、「特に欧州ではブタと濃厚な接触のあった人を対象とした感染症サーベイランスは十分でない」と指摘した上で、全てのブタインフルエンザの疫学的発表について注視すべきと訴えた。

 また、北米で確認された症例については、(1)基礎疾患を認めた入院症例を含め、すべて軽症ですでに回復している、(2)今回確認されたウイルスは、現在の季節性インフルエンザワクチンに含まれるA(H3N2)抗原では予防できない、(3)オセルタミビルやザナミビルに感受性がある、(4)高齢者では今までにワクチンを受けていればある程度予防できる――などが明らかになっているとした。

 その上で、米CDCが「ごく限られたヒト−ヒト感染はすでにいくつか起こっていた」との見解を示しているとしつつも、2009年に発生したA(H1N1)pdmとは違い、全米のどの地域でも多数のインフルエンザ患者の報告は出ていないことから、「今回の米国の症例は大きな現象を示す異常値ではない」と結論付けた

 これらの検討結果から、「欧州においては、今回のウイルスが人の健康に喫緊かつ直接的な危険性は低い」との見解に至っている。

 ただし、家畜ブタを対象とした積極的なウイルス学的サーベイランス、あるいはブタに直接、間接的に接触した人におけるサーベイランスなどを充実すべきとし、同時にウイルス学的リスクアセスメントも、今後とも展開し続けるべきとまとめている。