プラズマクラスターイオン発生機ナノイー発生機フラッシュ・ストリーマ放電装置付き空気清浄機など、浮遊ウイルスの抑制あるいは除去を特徴の1つとする新規電気製品では、一部に有意な除去効果が見られる機器があったものの、HEPAフィルター装着空気清浄機の効果には遠く及ばないことが分かった。国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター西村秀一氏らの研究で明らかになったもので、成果は感染症学雑誌に発表された。

 西村氏らは、各装置の効果を検討した1m3などの狭過ぎる実験空間は実際の生活空間を代表しないと考え、実生活空間に近い大容積でかつ内部の温湿度制御可能な施設を使った実験を行った。

 容積14.43の密封状チャンバー内で、インフルエンザウイルスをネブライザーで10分間噴霧し、その後、チャンバー内で対象機器を稼動させ、経過時間ごとに、ネブライザーから約2メートル離れた位置に設置した空気採取口からチャンバー内の空気を80リットルを吸引した。回収した空気内に存在する活性ウイルス量を測定し、コントロール(なにもしない状態)と比較することで、対象機器の効果を検証した。

 今回検証した機器は、プラズマクラスターイオン発生機(シャープ製)、ナノイー発生機(パナソニック製)、フラッシュ・ストリーマ放電装置付き空気清浄機(ダイキン工業製)と、HEPAフィルター装着空気清浄機(三菱電機製、シャープ製)。

 実験の結果、まずプラズマクラスターイオン発生機では、活性ウイルス量の推移は、コントロールの経時的自然減衰、すなわち何もしない状態のウイルス量変化と変わらなかった。

 一方、ナノイー発生器の場合は、コントロールの自然減衰に比べ、ウイルス量の有意な低下が見られた。また、ストリーマ放電装置付き空気清浄機では、自然減衰より大幅な低下が見られた。ただし、ストリーマ放電装置付き空気清浄機の場合は、放電装置を取り外してフィルターのみの状態で検討した結果と変わらなかった。

 このことから、ストリーマ放電装置ではなく、フィルターによるろ過がウイルス量の低下に効果があったと判断した西村氏らは、次にHEPAフィルター装着空気清浄機による効果を検証した。

 その結果、HEPAフィルター装着空気清浄機(三菱電機製)では、検出ウイルス量が30分で今回の実験系の最低検出限界に達した。このウイルス除去効果は、HEPA搭載機種を変えて風量をあげると、大きく向上することも分かった。また、風量変換可能なHEPAフィルター装着空気清浄機(シャープ製)でも、同様の効果が確認されている。

 フィルター効果以外では唯一、ナノイー発生機でコントロールに比べ有意に活性ウイルス量が低下していたことになる。この点については西村氏らは「(ウイルス量低下は)ナノイー技術によるウイルス不活化による可能性がある。だが、フィルターろ過の効果に比べれば過小であり、将来的には分からないが現状では実用的に役立つレベルかどうかは疑わしい」と考察している。

■参考資料
感染症学会誌 第85巻 第5号 p.537-539、2011
透析室でのプラズマクラスターイオン発生装置の利用、インフルエンザ感染の発症を抑える効果は確認できず