2010年の秋口から2011年春にかけて、日本では野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の検出例が相次いだが、お隣の韓国でも事情は同じだ。

 農林水産省のまとめによると、韓国では、2010年12月7日から2011年2月13日までに野鳥の死体あるいは糞からH5N1ウイルスが検出された事例は、合計20件となった。野鳥の種類は、オオハクチョウ、マガモ、トモエガモ、オシドリ、フクロウ、タカなどとなっている。

 事態が深刻なのは、このような野鳥から検出されたウイルスと家禽類から検出されたウイルスが、遺伝子学的に同じグループと確認されている点だ。

 家禽類の高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染事例は、韓国では2010年12月31日から2011年5月18日までに54農場に上っている。発生農場から半径500mまたは3km以内では、予防的殺処分が行われているが、これまでに647万羽を殺処分している。

 北海道大学大学院獣医学研究所教授の喜田宏氏は「渡り鳥の営巣地であるシベリアの湖沼に(H5N1)ウイルスが定着した可能性がある」と指摘している。渡り鳥に伝播したH5N1は、北の営巣地へ運ばれ、そこで増殖してほかの渡り鳥に感染。その渡り鳥がH5N1ウイルスを運んでやってくるという感染ルートを断ち切るのは、容易なことではない。日本だけで対応できることでもない。韓国をはじめ中国や東南アジアの国々と、野鳥ルート対策について、早急に話し合いの場を持つべきではないだろうか。